蛇柱と天柱弐 (ページ13)

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桜田「伍拾肆。」ページ13

『十月二十八日、
　
　あともう少しでAが一歳になる。

　そのことを空莉に言うと「あとひと月もあるけどな」と笑われた。

　五月蠅いわ。ひと月の速さを思い知れ。』

『十一月二十四日、

　今日は任務だった。よりによってAの誕生日に。

　まぁ仕方がないが。

　陽奈とAに土産を買って帰ろう。

　空莉には石でもくれてやる。

　いや流石に石は可哀想だ。ちゃんとしたものを買おう。』

『三月二日、

　陽奈の様子がおかしい。

　咳が止まらない。よく吐く。辛そうだ。

　ただの熱ではなさそうだ。明日、医者に連れて行こうと思う。』

　

　

『三月三日、

　陽奈が病気だったことを知った。

　治らないらしい。』

　

　

『余命半年。』

　

　

桜田「・・・余命・・・、半年・・・・。」

　

『七月二日、

　陽奈の容態が悪化した。

　おかしいな、動かなくなってしまった。

　きっと寝たんだ。そうに違いない。

　陽奈、空莉が可笑しなことを言うんだ。

　「もう起きない」と。

　起きてくれよ、そしてまた笑ってくれよ。』

　

　

『半年って、言ったじゃないか。』

『まだ二ヵ月は残ってる。』

『俺一人で如何しろというんだよ。』

桜田「父さん・・・・。こんな思いをして・・・。」

それでも私を、育ててくれてんだね。

また涙が止まらないよ。

母さん、私は貴方を知らない。

知ろうとも思わなかった。

ごめんなさい。

―――私を生んでくれて有難う。

伊黒「おい。」

伊黒「全て日にちでまとめておいた。」

桜田「早いな・・・。有難う。」

変なお願いしてもいいかな。

桜田「多分私今から物凄く泣くと思う。だからさ、」

桜田「ずっと横に居てくれないかな・・・。」

私は「泣いてるときに一人だと寂しいからさ」と付け加えた。

伊黒は呆然としている。

そりゃそうか。

伊黒「・・・・分かった。」

桜田「！・・・有難う・・・。」

よし、最後まで読むぞ。

　