【鬼滅の刃】鬼になるなんてどうかしてる

（捌）この手の先に ページ13

カッと目を開き、そのまま起き上がる





「……いかなくちゃ」






理由は……分からない








だけど体に内側から込み上げてくる使命感に似たこの感情は、今の私を突き動かすには十分な原動力となった







───走れ、もっと速く



───私ならきっと







間に合うから









ダァンｯ！！！



音と共に地面が揺れるほどの衝撃




(───ｯ！？あっちか！！)




私は衝撃の発生源へと一直線に駆け出した





目的地へと近づくにつれ ﾄﾞｸﾄﾞｸと激しく脈打つ心臓がうるさい









ようやく森を抜け開けた場所に出たとき






『玖ノ型、煉獄───








声と、その姿を見て


ゾワリ、と全身が総毛立つかのような感覚にとらわれた


そして









ﾀﾞｯ



気づいたら体が動いていた




持てるちからの全てを右足に込め、跳躍する




──目指すのは“あの人”の目の前







迫り来る鬼の手が青年に届く寸前、滑り込むようにして間に割り込んだ





「──ゴフｯ！！？」




己の腹に深々と突き刺さる、腕

口から吹き出した大量の血が 辺りを真っ赤に染め上げる




(あぁ これは………私でよかった(・・・・)かもしれない
きっと…人のカラダでは耐えられなかった)





『お前、誰だ』



腕を引き抜かれたことで更に血が零れるが
そんなことは気にしていられない




「さぁ？誰だろうな」



チラッと後ろへ視線を送れば 驚いた顔のまま固まる青年がいた




(まだ生きてる)


ほっと息をつくが すぐに切り替えねばなるまい



なにせ目の前の鬼の纏う“気”は恐らく────






『…………もしや逃れ者とはお前のことか？

ハハッ！ならちょうどいい！！あの方のためだ





────この場で殺す』









────恐らくこの場の誰よりも






強い

（玖）守りたいもの→←（漆）何処か遠くの誰かの記憶

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