今日も彼女は想うだけ【煉獄杏寿郎】

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夏休み三日前の放課後


今日も水やりをしながら
ぼんやり先生の事を考えていると


「乙葉！聞いてくれ！！」


先生が中庭にやってきた

何かいい事でもあったのか
ずいぶんご機嫌な様子

少し嫌な予感がして
掌をぎゅっと握りしめる


「どうしましたか？」

「実は───」







彼女から飯に誘われた






先生は確かにそう言った

大事な話があるんだって




「え？！本当ですか？！」

「うむ！さっき連絡が来てな」

「すごいです！ついにですね！きっと付き合えます！」



大丈夫

悲しくない
辛くない


大丈夫

ちゃんと笑えてる


いつかこんな日が来ると思っていた

大丈夫

思ったより早かっただけ


それだけ



「あの作戦が効いたのかもしれんな」

「ふふっ、良かったですね」



なんで涙が出ないんだろう

こんなに悲しいのに



「君には本当に感謝している！！」

「いえいえ、そんな！
 きっと先生の想いが届いたんです！」



今までありがとう
さようなら

って言われてるみたい



「いつご飯に行くんですか？」

「今日だ！」

「····随分と急で」



先生はすごいな

振られても諦めないで
真っ直ぐ想い続けて行動に移して

あと一歩のところまで来ている



「今日は何を食べに行くんですか？」

「うーん、まだ分からん！」



なのになんで私は自分の気持ちから目をそらすの

なんで矛盾から目をそむけるの

先生に幸せになってほしいとかなんとか言って

傷つくのが怖くてただ逃げているだけなのに



「決まっていないのなら、今から一緒にお店探しましょ」

「ああいや、今日は向こうが予約してくれるみたいだ！」

「そうでしたか、」




なんで


なんで私は



私はいつも






「俺は職員会議があるからそろそろ戻るぞ！」









思うことしかできないの






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