今日も彼女は想うだけ【煉獄杏寿郎】

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予想外の問いに一瞬頭が真っ白になる。

今まで見たこともない真剣な表情を向けられて
身体が硬直して動かない。

動揺している事がバレないように
無理矢理口角を上げて先生を見た。


「うまくいっています！」

「そうか？それなら良かった！」


先生は図書室の窓の鍵を閉めると

風で飛ばされたアンケート用紙を拾って元の位置に戻した。



「君の恋愛経験には及ばないが
俺も話くらいは聞いてやれるから
何かあればいつでも相談してくれ！」

「あ、りがとうございます」

「うむ！ではまた来週報告する！」

「はい、頑張って下さい！！」



先生の背中を見送って、中庭に向かう。



階段を下りたところで

込み上げる涙を抑えきれなくて
咄嗟に誰もいない教室に駆け込んだ。






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───君の恋愛経験には及ばない




先生はそう言ったけど

私のアドバイスなんて

所詮ネットと雑誌から得た知識で




恋愛経験0だから

恋のことなんて
これっぽっちも分からなくて

いつも暇さえあれば

「女性を振り向かせる方法」

なんて検索して

私なりに一生懸命先生を応援していた





「見事に振られてしまった！！」

「この後どうしたらいいか教えてくれ！」





先生は本当に不器用だから

教えてあげないと分からないから

応援しなきゃって

頑張ってほしいって

幸せになって欲しいって

ただそれだけを思って

毎日毎日電車の中とか家で

必死に検索して



「……───っ」






「乙葉？」






「……っ」

「なに泣いてんだ？」



教室の隅っこで座り込む私に突然黒い影が覆い被さる。泣いてるところも派手に可愛いな、なんて声が聞こえた。

適当に入った教室は美術準備室だったらしい。


最悪だ。


やっかいな先生来ちゃった…



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