逃がさないと言われましても 2【煉獄杏寿郎】

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水柱邸




「宇髄から話は聞いている。入れ」


案内された部屋はがらんとした何もない一室だった。
他の隊士の姿はなくシーンとした空気に緊張が走る。


｢......水柱様の稽古は何をするんですか？！｣


｢精神力向上だ｣





言われるがままに胡座をかいて、背筋を伸ばす。

これのどこが稽古なんだかさっぱり分からない。




「あ、あの！....剣術は教えてもらえないのでしょうか？」

「俺の稽古は言わば瞑想だ」

「瞑想？」

｢精神の乱れは戦闘に大きく影響する。冷静な判断をするためにも必要な稽古だ。自己洞察、対象認知、他にも精神コントロール＿＿」



「つまり心を静めるように、目を瞑って静かに呼吸しているだけでいいんですね？」

「そうだ。では始める」





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「私寝る時以外はいつも身体を動かしているので、じっとしていられな「無駄口を叩いていないで集中しろ ｣


｢っ、す、すみません｣





怖い...




水柱様の稽古は落ち着きがない私にとって、それはそれは地獄のようだった。開始30分ですでに気がおかしくなるほど。



「話しかけてもいいですか？」

「.............」








それから一時間くらいがたった。



本格的に気がおかしくなりそうだ....



「.....あと何分で終わりですか？」

「だから無駄口を叩くなと言っている」

「す、すみません」


どうしたら集中できるのか必死に考える。








ひとまず炎柱様でも数えてみるか...







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◇






炎柱様が一人...




よもや!




炎柱様が二人...



よもや!よもや!




炎柱様が三人...




よもや!よもや!よもや!







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炎柱様が十人...



よもや!よもや!よもや!よもや!よもや!
よもや!よもや!よもや!よもや!よもや!






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「ヴ...ぅ.....」

「おい、大丈夫か」



聞きなれない低く平らな声が聞こえる。


ゆっくり瞼を開けると
ツンとした表情で私を見る水柱様の顔があった。

「.....わ、私」

「具合は平気か」

額には冷たいタオルが置かれていた。

どうやらあのまま倒れてしまったらしい。


「す、すみません」

「だいぶ魘されていたが煉獄と何かあったのか」

「...っな、なんで炎柱様の名前が」

「ずっとよもや、と言っていた」

「言われてみれば夢に炎柱様が出てきたような...なぜでしょうね...ハハ」





柱:冨岡義勇
内容:精神力向上
合否:不合格

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