庭の金魚の波紋のその先 (ページ11)

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普通、こういう怖いことを生業としていると近所の人や世間の目が厳しいけど、江戸時代から続く霞野組は江戸時代からやっていることは変わらない。そのため、ご近所さんからも用心棒として頼りにされている。

　霞野組は江戸時代から、警察じゃあ介入出来ない事件を霞野組が介入して、暴いて警察を動きやすくする陽動部隊みたいなもんだってパパが言っていた。俺、田中樹の父もちょうど俺ぐらいの時に先代に拾われ、今じゃ幹部として場を仕切っている。
それに、近所の人たちも同様、江戸時代からの交流の人が沢山のため小さい頃からこの家に出入りしている俺は「貴臣さんとAちゃんによろしくね～」なんて言ってお菓子や、お裾分けの料理なんかをもらって良くしてもらっている。
　俺はこの、誰よりも優しくて、間違っていることは《間違っている》と正してくれる貴臣さんが大好きだ。それはもちろん、ここにいる全員がそうだろう。

「ごめんなさい！今日、来る日だって忘れてて！！」
「ふふ、だと思ったよ。だって僕が来るって知ってたら、いの一番に玄関から走ってくるもんね？」
「な！？ひ、人を猪突猛進ガールかのように～！」
「ん？違うのかい？それはそれで寂しいねぇ。僕はあの足音が好きなんだけれど…」
「ち、違わない、デス…。ふふっ、」

　2人とも会うのは3ヶ月ぶりくらいか？久々に会うからか、お互い気さくに冗談を言い合ったりして、穏やかな空気が流れている。さっきのプリプリしてたAとは大違いだ。
さ、貴臣さんの出現により機嫌を治したAであったが、今度は逆に北斗の機嫌は最底辺だ。
　貴臣さんがいらっしゃっている、と言うことは

「A、久しぶり」
「大我！わー！大我も久しぶりだね！」

　品を感じる私服を身にまとっているこの人は、きょもこと京本大我。大学1年生で、Aの婚約者だ。と言っても、その関係は高校までで、Aが大学に入学するのと同時に解消されるみたいだけど。これは、俺がこっそり聞いてしまった秘密でもある。
　きょもは貴臣さんの幼馴染の息子さんで、小さいときからよく遊んでもらっていた。その当時は、北斗とすごく仲が良かったのだが、二人の間に何かがあったのだろう。ある日を境に仲が悪くなってしまった。
　北斗曰く「馬が合わない」。2人に真相を聞こうと、この話を振れば、すぐに察して蜘蛛の子を散らすように逃げる。その姿は、やはり根っこの部分は似てるんだよな～と思わざるを得なかった。