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そのまま玄関を出ようとするから、繋いだ手をグッと引っ張って
「いいの？このまま出て」
「もぉ。何がっ？」
「……手。誰かに見られたり、防犯カメラに映ったり…」
「はぁ…」
今日 何度か聞いた盛大なため息 またつかれて
「こんな時間に出歩く人、このマンションには居らへんの。それにっ、ここのおっちゃん防犯カメラの映像流出させる様な人間ちゃうし、セキュリティー会社も、誰もが知っとる一流企業やで？」
“大丈夫やって”って言いながら手はそのままに部屋を出て、ズカズカと廊下を歩く
エレベーターの中
「家、どの辺？」
「車で10分くらい」
「それって、ホンマの家？」
「もおっ、今更隠したって仕方ないでしょ？」
車に近付くと助手席のドアを開けて
「10分なら、大丈夫やろ」
でも、やっぱり…
助手席に乗る事に戸惑っていると
「そんなにビクビクしとったら何も出来ひんやろっ。お前は俺の何なん？友達なんか？あぁっ？」
「……“彼女”です」
「やったら、もっと堂々とせぇ。バレたらバレた時や。俺が責任取る言うてるやろがっ。はよ 乗れっ！」
グッと助手席に押し込まれて、バタンと閉められたドア
今 きっと凄くキュンとする事 言われた気する
でもっ……言い方っ。高圧的すぎるっ！
車で10分なんて あっという間
すぐに家の前に到着
「いつ来ても ええからな」
「うん」
「ここの住人です〜みたいな顔して入って来たら ええから」
「わかった。行く時はメールするね」
車を降りようとしたら
「A？」
いきなり名前を呼び捨てされて
「うっ…うん？」
ちょっと 動揺
「おやすみ。またな」
「おやすみ…なさい」
走り去る車を見送って すぐに部屋に入る
引き出しの1番奥
小さな箱を取り出して、1枚のカードを広げた
何ってメール しようかな？
ちょっと動揺させられた お返し
彼が ドキッとするようなメール
送りつけてやりたい
家に着く時間を見計らって、送信ボタンを押した
“私も ずっと 貴方に逢いたかった
見つけてくれて ありがとう
信五さん
大好き です ”
end
next おまけ↓
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作者名：ちか
| 作成日時：2015年12月12日 8時
