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渡辺の横が2席空いてて、まどちゃんと座ると試合が始まった。
笛の音が鳴ってすぐに動き出したのは樹くんだった。
ボールが動くところにいつも彼はいて、試合が面白いぐらいに展開していく。
「やっぱりわんころバスケ上手だね。」
「わんこどいつだっけ?」
「背中に大きく“樹”って書いてるTシャツの子。」
「あーあいつか!
さっきからめっちゃうまいんだよ。」
まどちゃんと渡辺の会話は完全にBGM。
バスケットをする樹くんに夢中な自分にびっくりする。
無駄のない動きもそうだけれど失敗した友人の肩をたたいたり、
大きな声で支持を出したりいつもと違う一面が見れるのは素直に嬉しい。
「うちのクラス負けるわ。」
「バスケ部いないしね、岩本はバスケ苦手だし。」
「照、球技だけデキねーんだよな。」
「やっぱり人には苦手なものがあるもんだ。
っていうか渡辺負けたの?」
「バドミントン阿部ちゃん全然できねーから。」
「なにしてんだよ、負けてんじゃねーよ。」
「うるせーな、スポ根女!
そういうお前らはどうなんだよ。」
「うちらはもう次準決勝なんで。」
「さすがまどか、やるねー。」
「まぁ朝飯前ってやつ?
あっわんこクラス勝った。」
「うちのクラス男子競技結構やべぇな。」
試合展開は1B優勢のまま終わって、嬉しい気持ちのまま下に降りる。
ちょうどギャラリー席に上がってくる樹くんとすれ違う。
“先に行ってるね”ってまどちゃんはコートへ階段を降りて行った。
「先輩見てくれてたんですね。」
「うん、対戦相手うちのクラスだったから。」
「そうっすよね。
俺のことちょっとくらい見てくれました?」
右手で頭を掻きながら話す樹くん。
「すごい上手だったよ。」
「あざっす。
試合始まる時に先輩の顔見えたから頑張れました。」
「それは、よかったです。」
「次試合ですよね?
準決勝頑張ってくださいね!」
そういっていつもの笑顔を見せて、お辞儀をして上にあがって行った。
返答に困る発言にも慣れ始めた私だけど、照れくささには慣れない。
それが伝わるのが嫌でポーカーフェイスを保つのに必死なのは内緒の話。
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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時