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いつもの樹くんなのに、ちょっと胸がチクッとした。
「樹くんは人気者?」
「うん。あいつ人懐っこいから結構学年問わず知り合いも多いみたいですよ。」
「そうなんだ…そうだよね。」
「なにへこんでんだよ。」
「そういうんじゃないよ。
知らなかったから聞いたの。」
「へー。」
「なにその顔。」
「別に。」
ちょっとだけの優越感だったのかもしれない。
私にだけ懐いてくれていると思ったけれど違うみたい。
そりゃそうだ、あんなにいい子。
みんなに好かれてて当たり前・・・私はなにを勘違いしてたんだろう。
列が進んでいくと、森田くんが声をかけにいって私の方をやっと向いてくれた。
いつもは樹くんが私を見つけてくれるのに今日は逆で不思議な気分。
「みなみ先輩いらっしゃいませ!」
「遊びに来ました。」
「ツタンカーメン出来立て用意するんで、そこに座っててください。」
「席いっぱいだけど…大丈夫?」
「はい。今ごりが設置するんで安心してください。」
そう言って森本くんが裏から白いベンチをもって来た。
それを屋台の前にあるちょっと空いたスペースに置いた。
そこへ促されるように安井が座って、ブレザーのポッケから写真とチラシを出してスマホを重しにして私も隣に座った。
手際が良いとはいえないけれど、一生懸命作ってくれる姿を見れるのは嬉しい。
「お待たせしました。」
「すご!見た目も普通とちょっと違うのな。」
「そうなんす。隠し味にめんつゆと最後のスナック菓子でアレンジしてます。」
「樹くんのおうちの味なんだよね。」
「男ばっかり5人兄弟で、日曜はホットプレートで決まってこれです。」
「んま!これうまいよ。」
「あざっす。」
「私もいただきます。」
安井にお皿を持ってもらって、そこから焼きそばを取る。
真ん前の樹くんの視線が少し気になるけど、口に入れた瞬間おいしいことがすぐにわかった。
ソースのしつこさがめんつゆで少し薄まってさっぱりしてる。
「さっぱりしてる。すごくおいしいね。」
「まじ!うれしいっすー。やったー。」
制服の上から来た赤いエプロンのポッケに手を入れてぺこっとする樹くん。
私に向けてくれる笑顔はやっぱり可愛いなって思わせてくれる。
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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時