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チケットをブレザーの胸ポケットから1枚出して私にくれた。
それには《SHOW BASKET by RANGAKU》の文字。


「2日目にホールでやるんでしょ?
 凄い人気って聞いたよ。」

「俺も出るんです。」

「チケット全然ないって聞いてるけど…もらっていいの?」

「部員は友達とか用に持ってて、1枚しかないんすけど。」

「本当にいいの?」

「もらってくれると嬉しいです。」

「ご家族とはお友達とか…。」

「とっとにかく…当日待ってますから!」


私が言い切る前に走って廊下を去って行ってしまった。
後ろから私の手元のチケットを覗き込むように安井が顔を出した。


「すげぇな、わんこ。
 いや・・・やっぱりすげぇわ。」

「安井…これどうしよう。」

「行ってやろうよ、俺も行くし。」

「そうなの?」

「美勇人からもらった。
 大我も行くみたいだし。」

「まどちゃん行きたがってたんだよね。」

「お前が来なかったらあいつ悲しむぞ。」

「せっかくくれたんだし、行ってみようかな。」


チケットを眺めながら大切に手帳に挟んだ。
教室に戻って下書きを縁取りしながら、安井に文字を塗りつぶしてもらう。


「でさ…田中樹どうすんの?」

「どうするって…なにが?」

「いやどうっていうかさ。
 あれから結構経つじゃん。」

「そうなんだけどね。」

「Aはどうなわけ?
 田中樹のこと好きなわけ?」

「うーん。わかんない。」

「悪い気はしないだろ?」

「前より話すようになったけど。
 LINE知ってるわけじゃないし・・・よく知らないし。」

「ふーん。」

「言葉にしづらい・・・っていうか安井さ。」

「なぁんだよ。」

「興味ないなら聞かないでよね。」

「興味があるから聞いてんだろ。」

「絶対にうそ!」

「でもさー。」

「なに?」

「好きって言われるって、普通に嬉しいよな。」


安井にそんなことを言われたらちょっとだけ線が歪んだ。

細い筆で修正をしながら、樹くんの告白を思い出してみる。
突然の告白でいろいろ不透明だけれど、突き詰める一歩が踏み出せない。

そんなことを考えてたら“線歪んでんぞ!しっかりしろよー美術部ー!”って安井に注意された。

06 わんことわんこのお友達→←※



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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時

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