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「あれ?樹くん。」

「ちわっす。
 先輩1人で残ってるって聞いて。」

「え?誰から聞いたの?」

「まどか先輩っす。」


今日は男バスと女バレが体育館使ってたのかな。


「看板っすか?」

「そう、看板仕上げしてるの。」

「教室覗かない方がいいっすね!
 あの・・・忙しいとこ申し訳ないんですけど・・・。
 ちょっとだけ時間ください。」

「全然大丈夫だけど、なにか用事?」

「これ…渡したくて。」


そう言って両手で持たれていたのは《1B 焼きそば》の文字。
チラシの端っこには《田中樹》って名前が入っていた。
クリアファイルごと手に取ってチラシを眺める。

チラシに名前が入っているとチラシ票が2倍になるのもうちの学校のルールだったりもする。


「焼きそばすごくおいしそうだね。」

「写真部の子が撮ってそれを加工したんす。」

「そうなんだー。
 え?ツタンカーメン?」

「これスペシャルなんす。
 俺のおふくろの味で、マジでうまいっすよ。」

「そうなんだね、楽しみにしてるね。」

「あの…先輩のクラスチラシもらえたりしますか?」

「ちょっと待ってね。」


教室の戻って気付いたけど、もろちゃんに全部渡しちゃったんだった。
手元にあるのは原画しかないけど、もう使わないしいっか。


「ごめん、チラシうち明日配布なんだ。」

「ないんですか…そっかー。」


しゅんとした樹くんには、ありもしない耳が見えて本当にわんこみたいだった。


「原画ならあるんだけど、これでもいいかな?」

「えっ!これいいんですか?」

「ちょっとよれ気味だけれど、樹くんが良ければ。」

「俺、これがいいです。」


そう言ってファイルごと胸にばたんと押し付けて喜んでくれた。
こんなに喜ばれると、どうリアクションしたらいいのか。


「先輩のサインって書いてくれたりしますか?」

「サイン?」

「美術部の絵とかって名前書いてるじゃないですか。」

「あるよ、ちょっと待ってね。」


コンクールに出品する時に使うサイン用のハンコをカバンから取り出す。
朱肉がないからペンキでうすーく色付けしてためしすりをして、チラシにポンッとおしてあげる。


「乾くまで気を付けて持ってね。」

「ざっす!宝物にします、これ。」

「ちょっと大げさすぎるよ・・・。」

「価値がありすぎます!
 あっ無理言ってすいませんでした。」

「そんなことないよ。
 私もチラシありがとう。」

「あと…これ良かったら。」

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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時

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