51話 ページ3
…
みんなしばらくは体育館から出てこないだろうから
体育館の外にあった非常階段に座って、持って来ていたお弁当を開く。
本当は、流星のために作ったんだけど
きっともういらないだろうから、自分で食べよう。
まだ、聞こえてくる歓声。
伝わってくる熱気。
正直、ああいう場所は苦手だ。
それに今の私には一緒に喜べる相手もいない。
家に帰ったらちゃんと
流星と崇兄におめでとうって言おう。
けど、今日は打ち上げとかで遅くなるのかな…。
そんなことを思いながら、相変わらず微妙な味のお弁当をつつく。
こんなの大したものじゃないし、がんばった流星にはもっと豪華なご褒美があるだろうし
やっぱりあげなくて正解だったかも。
今度智洋に料理教わろうかなー、なんて考えていると
？「なぁ、お前の彼女って優勝した学校の子なんやろ？」
？「へぇ、そうなん？まだいる？見たい！」
？「その子も昔はバスケしてたって聞いたで。なんでやめたん？」
どこからか、そんな声が聞こえてきて
無意識のうちに息を潜めていた。
？「あー、まあ俺が原因？笑」
？「え、お前何したん！笑」
？「彼女強かったんやろ？勿体ないやん」
？「せやけど…俺よりバスケ強いんやもん。そんな彼女嫌やろ？それにキャプテンやったから全然俺に構ってくれへんかったし。せやから、辞めさせたわ。笑」
え……
もしかしてこれって凛ちゃんの話？
てことは話してるのは彼氏さん？
？「辞めさせたって、何したん？」
？「ケガ、させた。」
？「うわっ、お前サイテーやろ！」
何これ……どういうこと？
？「同じ女バスにもあいつのこと恨んでる奴が結構おってさ。あいつ、飛び抜けてバスケ上手かったし、キャプテンやからって生意気やってみんな嫌っててん。せやからそいつらと組んで、大事な試合の前に階段から突き落とした。」
その言葉を聞いた瞬間、全身がカッと熱くなるのがわかった。
こいつ…本気でそんなこと言ってんの？
こいつなんかのために、凛ちゃんは………
流星「…今の、ほんま？」
いつもより一際低く響いたその声に
反射的にそちらに顔を向ければ
見たこともないくらい怖い顔をした流星が立っていた。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年9月27日 0時
