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63話 ページ15









流星「昨日、作業サボった人だーれだ。」



外から地面を打ちつける雨の音を聞きながら、ぼーっと彼女を見つめる。




流星「LINEしてもガン無視やし、ちょっと心配したんやで?」



大毅が、塗るところを間違えた彼女に“大丈夫”と微笑みかける。




流星「おーい、聞いとる?…あかんわ、これ。」



彼女がわかりやすく頬を赤く染めて………






流星「Aっ!!」



突然立ち上がって大声を出した流星に、その場にいた全員が彼を見上げた。




流星「でーと、しよ?」


かわいらしくコテン、と首を傾げた彼に、戸惑う。




「いや、デートって…」


ってか、何もそんなみんなに聞こえる声で言わなくても…





流星「てことで、ごめん!田中さんたち、明日は俺らだけで作業するから、今日は任せるな!」



そう言って、えっ!と困った表情をする田中さんたちを置いて私の手を引っ張り駆け出す。





そして着いた先は………





「パンケーキ…?」



流星「そ、前に約束したやろ?」




そりゃ、したけど。

別に今日じゃなくてもよくない…?



それに流星が無理やり引っ張るせいで、傘さしてたのにびしょ濡れだし…





とりあえず中に入って、店員さんに案内された席に座る。




流星「…で?なんでそんなに上の空やったん?」


「え、」


流星「あと、昨日サボった理由も。」


「…。」



それを聞くために、連れ出したわけね。




流星「ま、どーせ大毅やろ。」


何も言い出さない私に、フッと鼻で笑う。



「…なんで、」


流星「見てたらわかるって。原因は…大毅と同じ団の1年生、やろ?」



…流星は、全部知ってたの?



流星「あの子、初日から大毅の方見て顔赤くしとったもん。だから、あ〜好きなんかな〜って。で?あの子になんかされたん?」



この人にはなんでもお見通しってわけか。



「…昨日、偶然あの子と聖菜ちゃんが話してるとこ聞いちゃって…。体育祭の日に、大毅に告白するんやって。」


流星「告白、ねえ。」



それを聞いて、なぜか今までとは違う結果になるんじゃないかって

そんな気がして。



「それで、その場にいるのが嫌になって…帰った。」


ごめん、と小さく呟けば

ええよ、って優しく笑う。



流星「ほら、今日は俺の奢りやから。食べたがってたパンケーキ、思う存分食べ。」




そう言って、笑顔で私にメニューを渡してくれる流星に


少しだけ、心が軽くなった気がした。








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作者名:ホワイトモカ x他1人 | 作成日時:2019年9月27日 0時

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