20話 ページ21
…
智洋「A、お待たせ！」
ようやく部活が終わって、智洋が駆け足で私の元までやって来る。
「お疲れ。とも、頑張ってたやん。」
試合で何度もシュートを決めていた彼を素直に褒めれば
“今日はAがいたから調子良かったかも” なんて
照れ臭そうに微笑む。
智洋「よし、じゃあクレープ食べに行くか！」
きっと部活で疲れているはずなのに
そんな素振りも見せず私のために時間を作ってくれる彼に…
何だか無性に抱きつきたくなった。
智洋のことを好きになれたら…
なんて心にもないことを思ったりして。
だけど私はやっぱり…
望「Aー！一緒に帰ろー！！」
遠くから制服に着替え終わった望が走って来る。
隣の智洋はそんな望を見てちょっと苦笑いしてて。
望「何やねん、智洋だけAと帰ろうとして。ズルいー！」
私の目の前までやって来ると智洋から遠ざけるように私に抱きつく望。
「あんな、望…」
今日は智洋と約束があるから
そう言おうとした時、後ろから大毅と照史がやって来た。
大毅「望、今日は俺と2人で帰ろうや。」
大毅のその言葉に、胸がざわつく。
望「はあ？なんで大毅と2人やねん。俺はAと帰りたいの！」
当然、望が納得するわけもなく。
照史「てか、みんなで帰ればええやろ。どうせ帰る場所一緒やし。」
照史が不思議そうに大毅を見つめる。
まぁ、照史の言う通りなんだけど…
できれば望の前で智洋とクレープを食べに行くことは言いたくない。
照史「てか、Aがサッカー部見に来るとは思わんかったわ。いつもすぐ家に帰りたがるくせに。ま、ラブラブでええけど。」
照史が私と智洋の顔を交互に見つめてニヤニヤしだす。
あぁ、この人に付き合ってるなんて言わなきゃよかった。
照史の言葉に智洋が顔を赤くして
望は顔をしかめて
もう早くこの状況から抜け出したいんですけど…
と、思っていたその時。
聖菜「ともくーん！待ってよ！一緒に帰ろう！！」
マネージャーの仕事を終えた聖菜ちゃんが走って来た。
智洋「せっちゃん…」
聖菜ちゃんは私を見つけるなり顔を歪ませて。
何でいるのよ、とでも言わんばかりの視線を投げつけた。
大毅「智洋とAは先生に呼び出されてんねん。だから一緒に帰れません！以上！ほな帰るで！！」
大毅のその言葉に胸が締め付けられて。
私は智洋の手を掴んで走り出した。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年2月21日 20時
