この恋、難攻不落につき。 (ページ2)

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1話ページ2

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高2になって

周りには随分恋人同士が増えた気がする。

大人ではない

だけど子供とも言い切れない

曖昧なこの時期に、思春期の私たちはもっぱら色恋の話に夢中だった。

みんな “カレシ” “カノジョ” を、

あるいは “スキナヒト” を

作りたいと必死だった。

だけど私は知っている。

好きな人って

作ろうと思って作れるものなんかじゃないと。

だから私は1人、みんなとは違うと優越感に浸っていた。

みんなより先に、人を愛することを知っているから。

もういつから好きで

どのように好きになったのかなんて覚えていない。

それくらい前から

私にはもう愛しいと思える人がいた。

その事実が私に優越感を抱かせ

最近恋に興味を持ち始めたみんなを見て

心の中で嘲笑った。

自慢ではないけど、私は同年代の女の子たちに比べたら恋愛のことをわかっているつもりだ。

どのようにしたら男の子が喜ぶかとか

どのようにすれば相手に好きになってもらえるかとか

恋の駆け引きは上手い方だ。

それも全部、長年愛しい人に振り向いてもらおうと努力した結果。

だけど、実際

恋はそんなに上手くいくものじゃない。

本当に好きな人には

いつも振り向いてもらえない

恋の辛さも、苦しさも

私は痛いほど知っている。

他の人ならすぐにその意図に気づくのに

他の人ならすぐに顔を赤くするのに

あなたは一度も

私が送るこの熱い視線に気づいてくれない…

.

望「…なぁ、A聞いとる？」

いつものように、私の前の席の椅子に跨って

身を乗り出して顔を覗き込んでくる望。

「聞いとるよ、今度の体育バスケするんやろ？」

ちゃんと目を見つめ返して微笑めば、途端に頬を赤く染める。

望「せやねん、隣のクラスと合同で。俺流星には絶対負けへんから、ちゃんと見といてや？」

その瞳に嫉妬が渦巻いているのがわかって

あぁ、この人はとんだ勘違いをしていると可笑しくなった。

「流星バスケ部のエースやろ、望大丈夫なん？」

闘争心を煽るように

わざと馬鹿にしたように微笑む。

そしたら、ほら。

望「俺の方が流星より背高いし！それに小さい頃から崇裕のバスケ見とったから、ぜっっったい負けへん！！」

いとも簡単に私の思い通りに反応してくれる。

望はわかりやすい。だから好きだ。

わかりやすい方が、上手く転がってくれるから。

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