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「葵?」



繋いでおいた電話が、突然切れてしまった。名前を呼んでも返事はなく、落ち着きかけていた焦りが、再び沸き上がってしまう。

マツダスタジアムに到着し、慣れた道を全速力で走る。時々、顔見知りのスタッフと擦れ違うが、止まって挨拶をするような余裕はなくて。慌てた様子の俺に驚きながら、小さく挨拶をしていた。そんな中、よく見知った顔を見つけた。



「あ!誠也!」

「あ?あ、龍馬?」

「葵見いひんかった?」

「葵さん?…あ、さっき似たような後ろ姿なら見たけど」

「どこで?」

「事務所近くの部屋に入ってった。え、あれ葵さんだったの?」

「女と一緒にいた?」

「うん、かわいくて有名な子といた」



ナイス誠也、後で飯でも奢ってやろう。そんなことを思いつつ、サンキュと一言告げて、教えられた場所へと向かう。この状況が楽しそうと判断したんだろう、さり気なく後ろについて来た誠也に構う余裕もなく、通路を走った。

事務所付近の部屋を何室か開けたが、葵の姿はなかった。いよいよ、最後の一室というところで、部屋の中から叫ぶような声が聞こえた。



「私は西川さんが好きなの!あなたが邪魔なのよ!」



なんて傲慢で、我儘な女なんだろう。その扉を勢いよく開けると、今にも葵に飛びかかりそうな彼女と、少し驚いた顔をして俺を見た葵。



「葵、」

「龍馬、」

「ちょ、お前何してんねん」



葵を捉えてすぐ、視線を横に移し、そいつに声をかけた。いつものかわいらしい笑顔の彼女からは、想像もつかないくらい恐ろしい顔をした女がそこいた。

後ろにいた誠也は、なんとなく状況を察したのだろう。さっすが西川さん、と茶化すように話していたが、女にバレないよう、危ないときは俺も出るから、と小さな声を発してくれた。



「西川さん、」

「葵に何かしたら許さへんて言うたよな?」

「私、西川さんに憧れてて…ずっと、ずっと、だいすきだったんです!やっと球場に就職したのだって、西川さんに会いたくて!」

「うわー、動機が不純だあ」

「お前はほんま黙ってろ」



ーーーあいつ、自分の状況、全然分かってへんな……!



暢気に言葉を発している葵に、イライラしつつも、ヒステリックに叫ぶ彼女から目を離さないでいる。誠也は後ろで、葵さん余裕、と笑っているし、なんだか俺だけ慌てているみたいで、余計に苛ついてしまった。

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aoi(プロフ) - Ey3467さん» はじめまして*こちらこそありがとうございます!とても励みになります^^ (2021年6月1日 12時) (レス) id: 4b9a3afcbe (このIDを非表示/違反報告)
Ey3467(プロフ) - はじめまして!aoiさんのお話ほんとに大好きなので更新していただけてほんとに嬉しいです! (2021年5月31日 12時) (レス) id: 8bada13383 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よせさん» コメントありがたいです、うれしいです! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - り子さん» うれしいお言葉ありがとうございます*(頂いたコメントですみません、り子さまのおはなし、私もだいすきです…!) (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みやさん» ありがとうございます、嬉しいです* (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年4月2日 23時

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