: ページ4
_
あ、龍馬さん完璧に夜モードだ。真夜中のお食事のはなしをされている。たまあに見せる、男の目。
「急、に」
「もうすぐ開幕やし。開幕したらまた会えん日続くやん」
「そうだ、けど」
「…最近してへんし。俺寂しい」
「忙しかったから」
「俺、結構おあずけ頑張っとったよ?」
「…っや、」
近づいてきた、炎が灯った目。そのまま重なって唇を塞がれた。驚いて、濡れたままの手で彼の肩を押すがビクリともしない。啄むキスに油断して、ひゅっと呼吸をしてしまうと、隙を逃さず深いキスをされた。
キスも久しぶりなんじゃないか。家を空けることが多い龍馬だから、求められるのも久しぶりで。でもずるい、こんな逃げられないキスをしないで。
「…ん、っ」
「は、」
「…りょ、ま…」
「葵、かわえ」
「…っ」
「こういうときだけは静かやな」
「…っうるさい」
「その顔で睨んでも逆効果なんやけど」
「…っどんな顔よ」
「……」
「龍馬、?」
「男を誘う顔、」
俺以外に見せたらあかんで、そう囁かれて、もう一度、ちゅっと唇に触れるだけのキスをされた。そのまま気分よくリビングに戻る龍馬は、いたずらそうに口角を上げて、楽しそうに去っていく。
くそ、生意気、かわいくない。子どものくせに。
急に見せる男らしい一面には、長いこと付き合っていても全然慣れない。寧ろ、いつもいつも緊張してしまうし、恥ずかしくなってしまう。
洗い物を終えて、お風呂に入って、歯を磨いて、少し話をしながらテレビを見て。そのままベッドに入れば、スイッチの入った彼を止めることはできないから。まんまといただかれた私。悔しい。次に見てろ。そう思いながら、結局抗えないことは、自分が一番分かってる。
_
朝、目が覚めて、一番にその寝顔を見る。ひとを支えることは難しいが、この穏やかな寝顔をいつまでも見られるように、私らしく彼を支えていきたいと思った。
あのね、龍馬。憎まれ口も、臍曲げるのも、本当は、あなたに気付いてほしいから。だから、呆れないで、仕方ないなあと笑っていてね。
「龍馬が怪我なく、シーズン終えられますように…」
その寝顔に、そう、願いを込めて。再び眠気に誘われた私は、その前に目を閉じた。
うつらうつらしていた意識の中で、大きな手が頭を撫でた気がした。
「ありがとう、葵」
_fin
183人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aoi(プロフ) - Ey3467さん» はじめまして*こちらこそありがとうございます!とても励みになります^^ (2021年6月1日 12時) (レス) id: 4b9a3afcbe (このIDを非表示/違反報告)
Ey3467(プロフ) - はじめまして!aoiさんのお話ほんとに大好きなので更新していただけてほんとに嬉しいです! (2021年5月31日 12時) (レス) id: 8bada13383 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よせさん» コメントありがたいです、うれしいです! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - り子さん» うれしいお言葉ありがとうございます*(頂いたコメントですみません、り子さまのおはなし、私もだいすきです…!) (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みやさん» ありがとうございます、嬉しいです* (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aoi | 作成日時:2019年4月2日 23時