検索窓
今日:14 hit、昨日:16 hit、合計:69,003 hit

嬉々 ページ1

_





太陽がきらきら光る頃、早起きの君はずっと前から目を覚ましていて、生活の音を奏でている。この音が、ひどく愛しい。



揶揄うときみは、可愛い顔をして怒るから。

誤魔化すときみは、少し不安な顔をして笑うから。

触れるときみは、文句を言いながら俯くから。



そのどれもが眩しくて、手放す気なんてひとつもないから、いつまでもきみと笑い合いたいと願ってしまうんだ。





○ 嬉々 ○





「葵ー、靴下とってー!」

「はーい」


「葵ー、ボタンとれたから付けてー!」

「洗濯終わったらするから、ちょっと待っててー」


「葵ー、腹減ったー!」

「…私はあんたの母ちゃんじゃないんだけど!!」



当たり前の毎日。日常の風景。それを切り取ると、どれも楽しくて笑顔が絶えないことばかりだ。カープに入団した頃から付き合い、俺が退寮したと同時に同棲を始めた。

三つ上のお姉さん。標準語を話す葵と出会ったのは、仕事の都合で彼女がこっちに引っ越してきたから。しっかりしていて、さばさばしたこのひとに、ぐっと惹かれてしまった俺は、漸く彼女と付き合うことができた。



「そんな怒んなやー、皺増えんで」

「あのねえ、誰が怒らせてるわけ?」

「龍馬くん?」

「…そんな上目遣いしてもぜんっぜんかわいくない。すっごい鳥肌が立ったから、他のひとの前ではやめた方が良いよ」

「やかましいわ。ほんまかわいくない」



憎まれ口を叩きながら、洗濯物を畳み終えた彼女が、キッチンに立ってくれるのを、俺は知ってる。わがまま言って、子どもみたいな俺を、葵は叱りながらも仕方ないと許してくれる。その表情や仕草が、俺はすきだ。

エプロンを結ぶ。肩まで伸びた髪を、小さく結ぶ。ちらりと見える項に、どきっとする。こんな新鮮な気持ちを、いつまでも持っている俺は、これからもずっと彼女に恋をし続けるんだと思う。




笑顔がたくさんの毎日を、彼女が送れるように。

小さなしあわせを俺は毎日噛み締めている。

そんなふたりの、当たり前。





__

懲りずに、また新しいものを始めてしまいました。しばらくは、花束と春のうたと嬉々、3本を書いていこうと思います。毎度、終着点がない連載をしてしまうわたしは、性懲りも無く、オムニバスなんてものを始めてしまいました。終わらないね。
ただ、描いたことないタイプのおんなのこなので、とってもたのしみです*もし宜しければ、お付き合い頂けると嬉しいです。

支えるということ→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (99 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
183人がお気に入り
設定タグ:プロ野球
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

aoi(プロフ) - Ey3467さん» はじめまして*こちらこそありがとうございます!とても励みになります^^ (2021年6月1日 12時) (レス) id: 4b9a3afcbe (このIDを非表示/違反報告)
Ey3467(プロフ) - はじめまして!aoiさんのお話ほんとに大好きなので更新していただけてほんとに嬉しいです! (2021年5月31日 12時) (レス) id: 8bada13383 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よせさん» コメントありがたいです、うれしいです! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - り子さん» うれしいお言葉ありがとうございます*(頂いたコメントですみません、り子さまのおはなし、私もだいすきです…!) (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みやさん» ありがとうございます、嬉しいです* (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aoi | 作成日時:2019年4月2日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。