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暫くするとまた睡魔に襲われてAねぇが上がってくるまでのちょっとだけ寝よって目を瞑ったけど、どうやらそのまま寝てしまったみたい。
ぼや〜っとする視界には天井が映って、一瞬見慣れない景色に何処よここってなったけど、片腕に感じた重みに眉をひそめた。
この絶妙に二の腕にかかる重みと、鼻を刺激する爽やかなシャンプーの香り。
「……なんで俺の腕、枕になってんの?」
俺の方を向いてスヤスヤと眠るAねぇ。
部屋はまだ明るくて、なんならテレビもついたまま。
俺は完全に寝落ちだけど、え、これってどういう状況なの?
頭の周りに?が回る。
「ん、…っくしゅ、」
小さなくしゃみが聞こえて、布団を被ってないことに気づいたら、少しだけ身体を起こして足で器用に布団をとって被った。
で、そのまま元の位置。
一緒に寝ちゃってんじゃん。
「ほんとさ、無防備すぎない?」
頬っぺをつつくと、想像よりふわふわだった。
「Aねぇ、誰とでも寝てるの?」
こんなに簡単に許しちゃダメじゃん。
相手が俺だから良かったんだよ?
なんて爆睡してる相手に言っても仕方ねぇけどさ。
暖をとろうとしてるのか、俺に更に寄せてくる身体を触らないように気をつけるのも限界ってのがある。
ちょっとくらいなら良いっしょ。て、ことでAねぇの腰に腕を回した。
柔らかい。
精神的に落ち込みだしたら所謂一夜限りの関係を持つようになった俺。
柔らかい女の子を抱きしめてたら、スーッと疲れが取れていく。
だけど事が終わった後の喪失感はどうしても拭えなくて。
ヤッて身体はスッキリなのに、心は更にポカンと空洞を作る。
なのに不思議だ。
Aねぇを抱きしめてるだけなのに、あれだけ晴れなかった心がほわほわとした暖かいものに包まれていく感じがした。
自然と上がる口角。
見えないけど自分がめっちゃ笑ってるんだろうなって容易に想像ついた。
ああ、でも……ヤバいな。
心は満たされていくけど、身体が反応してしまう。
もっと、もっと深く繋がりたい。
ねえ、Aねぇ、
Aねぇの記憶の中の俺は"可愛い"ままの佐久間なんだろうね。
だけどさ今の俺は安心しきった顔で眠るお姉ちゃんの隣で狼になろうとしてる"男"になっちゃったんだよね。
ねえ、こんな俺だけど受け入れてくれるかな?
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☆ゆきんこ☆(プロフ) - 詩乃さん» ありがとうございます!駅のシーン予想当たりましたか?やっぱり好きな人と別れるのは名残惜しいので彼は待たない事を選びました。4章でも切なさ続くかもしれませんが、よろしくお願いします(^^) (2020年8月20日 9時) (レス) id: 7487347ac7 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - まのかさん» ありがとうございます!やっと彼sideも終えて本編に戻れますので、4章もよろしくお願いします(^^) (2020年8月20日 9時) (レス) id: 7487347ac7 (このIDを非表示/違反報告)
詩乃(プロフ) - またまたのめり込んで拝読しました!あぁ〜、やっぱり駅でお別れしてすぐ帰っちゃったのはそういうことだったのね!( ; ; )と私の中で大ちゃんへの共感の嵐が止まりませんでした。切ない…でもキュンとします。引き続き応援しています!! (2020年8月20日 2時) (レス) id: e6f055e37f (このIDを非表示/違反報告)
まのか(プロフ) - 大ちゃんside完結おめでとうございます & ありがとうございます! どっちも読めて本当にうれしいwww 4章も楽しみにしてます^^ (2020年8月19日 20時) (レス) id: 496b8676bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年8月8日 9時