真っ赤な嘘 (ページ3)

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「…ごめん」

彼女は俺の家に来て早々そう呟いて泣いていた。

「えっと…なにが？」

彼女はSOSを出しているように俺のことを煽れんばかりで抑えきれない涙を堪えようとしながら見つめていた。

「…わからなくて」

「自分が悪いの」

「慣れちゃって」

「…あなたを疑うことに」

ポツリポツリと呟く彼女に、俺はようやく彼女の涙の理由がわかった。

彼女の今までしてきた、俺を試すような演出が自分でも正しいと思えなくなってきた瞬間、感情を自分だけでは抱えきれなくなったのだ。自分がどうしてこんなことをしてしまったのか。曖昧に俺のことを揺すっていたことを客観的に見たのかもしれない。

「俺はずっとここにいるよ」

そう言って、彼女のことを抱きしめる。小刻みに揺れる肩を宥めるように少しきつく抱きしめると、彼女はヒクヒク言いながらも俺の腰に手を回した。

「…心を素通しできたらいいのに。」

そう言う彼女は寂しげに俺の目から自分の目を逸らした。

俺の心を素通しできたとしても、君はその演出をやめられないことくらい俺は君のことをわかっているつもりだ。

だけど、今回の涙は気づかなかった。自分の力不足でもある。

「…そうだな。」

俺も君の心を素通しできたらよかった。

だけど、君は正しい愛を掴んでいるよ。

俺を信じているからこそそういうことをしていたんだろ？

信じることの裏返しだということも、俺は分かっているよ。