10[T.K] ページ10
「俺、Aの力になりたい。」
「智洋くん…?」
「Aが悲しくなったら一緒に泣きたいし、Aが楽しくなったら一緒に喜びたい。」
「………。」
「この先何があっても一緒におりたいって思うのは、俺だけ?」
そう聞いて、俺はAの両手を自分の両手で包んだ。
「でも私…補聴器つけても何も聞こえなくなる日が来ると思う。それも近いうち。」
Aの手はかなり冷め切ってた。俺の温もりでなんとかAを温めたい。
「智洋くんに迷惑かけたくない。」
「なぁ。もっと俺を頼ってや。」
そう言うと、Aは俺の方を見上げた。
もう涙でAの顔はぐちゃぐちゃになっている。
俺はAにこんな顔をこれ以上させたくない。
「俺を頼ってほしい。俺は絶対にAから逃げていかない。むしろそばにおりたい。
Aともっと楽しい時間を過ごしたい。アカン?」
「………。」
「どんなことがあっても、俺らなら乗り越えられる。もっとAに協力したいねん。」
「………ありがとう。」
今度は、Aから抱きしめてくれた。
いつもより背中が華奢に感じた。
震えながら抱きしめるAは、孤独とずっと戦ってた。
「同じクラスならもっと一緒に居れるのに。」
「…気持ちだけでも、十分。」
俺はAの頭を撫でた。
「智洋くん、大好き。」
「…俺はその倍好き。」
その日は俺はずっとAの部屋におった。
Aの部屋にあるアルバムを開いて、昔話に花を咲かせた。
Aがそうしたいと言ったから、そのリクエストに答える形で。
Aと俺の手は繋がれたまま。
その温もりを、一生忘れられへん。
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作者名:きい | 作成日時:2021年10月17日 19時