検索窓
今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:49,873 hit

18 ページ18

”話遮ってごめん。”





「ううん。智洋くんがいたら、仕事に集中できないって思っちゃって。



だから一回は断ったの。」










”そうなん?”



「うん。そしたらね。」




Aさんのところに、直接流星が会いに来たという。




”流星が?”







Aさんは頷いた。流星がそこまでするなんて、昔やったら考えられなかった。



流星はライブの構成を全体的に考えてくれるようになってからめちゃくちゃ勉強している。












でも、ここまでとは。



俺も流星を誇りに思うし、俺がアイツと同じメンバーであることを奇跡やと思えてしまった。













「藤井くん、最初、彼は私が耳が聞こえないこと知らなくてね。





それで私が話を中断して藤井くんに事情を説明して手話の通訳さんを呼ぼうとしたの。




そしたら藤井くんが止めたの。」









”止めた?”






「そう。自分の言葉じゃないとこれは説明できないからって。


自分の思い描いてるイメージが、人を経由して私に伝わるイメージと違ったら嫌だからって。







すごく時間がかかるはずなのに筆談と絵と表情とジェスチャーですごく熱弁してくれて。









私のタッチを映像に入れたいって。




曲と曲の間に衣装替えのために映像があるんだって?



その時に私のタッチを映したいって言ってて。



ライブのコンセプトとか、もう全部教えてくれて。





こんなに熱意を込めて喋ってくれたのが嬉しくて。




色々と障害があると面倒くさがって人を頼っちゃうけど、




藤井くんはそれをせずに、懇切丁寧に教えてくれた。






私、それが嬉しかったの。





こんなにチームのために頑張る人が私に手を貸してほしいって言ってくれるんだって。




だから微力ながら頑張らせてくださいって。」












流星…。知らんかった。




俺らのいないところで奮闘している流星を思い出すと、泣けてくる。流星には、かなわんわ。










「でも、ケジメをつけようと思った。それでね。」





Aさんはニコッと笑った。






「智洋くんと、今日話した。ちゃんと。」





「…。」

19→←17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (185 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
622人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きい | 作成日時:2021年10月17日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。