13[T.K] ページ13
そして、卒業式を迎えてしまう。
「A。」
俺がAを呼ぶと、Aは俺の方を振り向く。
教室で二人きり。Aはカーテンの前のロッカー棚の上に腰掛けてこっちを見る。
「久しぶり。」
「うん…。久しぶり。」
俺らは付き合っているはずやのに、
前に会ったのがいつなのかわからへんくらいご無沙汰していた。
”ごめんな。なかなか会えんくて。”
Aは首を振って棚から降りた。
”あげる。”
Aは俺の前に手を差し出した。
受け取って見ると、クローバーの刺繍がされてるお守りやった。
”ありがとう。Aが作ったん?”
”そう。”
そう言って、Aはお揃いだよと呟いた。
今までずっとAとは手話で会話していたから、
Aの声が聞けたのは久しぶりやった。
”今まで、ありがとう。”
ふとAはそう言った。
それは一体どう言う意味なのか俺にはよくわからんかった。
Aのブレザーの胸ポケットには赤い花が差し込まれている。
ピン留めで”卒業おめでとう”とリボンが下がっていた。俺の方のリボンをAは触る。
「辛かったよ。ずっと。高校生活。」
初めてAが打ち明けた、自分の気持ち。
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作者名:きい | 作成日時:2021年10月17日 19時