烏野2年の孤爪さん その5

カラスが195羽 ページ32

見守り隊side






すると、矢巾は「あー...」と言いづらそうに頬をかいた






矢「まあ、えっと、確かにちょっと大変だったけども...」

『だ、だよね、ごめん...』









おい、そこは嘘でもそんな事ないって言えよ！！と、3人が強くそう思った









矢「でも、俺はそれも含めて楽しいよ」

『へ...？』

矢「なんか意外な一面を知れたというか...だってAさん、しっかりしてそうなのに、抜けてる所もあるんだなぁって」






「俺も抜けてるから、なんか親近感沸いちゃったよ」と続けて言う矢巾






矢「電車の乗り方とかはこれから覚えてけばいいし、いっぱい出かければ景色に魅入ってボーッとしなくて済む」

矢「それに俺は...その...こ、これからも、Aさんといっぱい遊びたい...から、そんなに暗い顔しないで」










少しだけ照れくさそうに笑う矢巾


そう言われ「う、ん...ありがと」と言う孤爪ちゃん








2人ともほんのり頬を染めて、気恥しそうに目線を逸らした










2人の周りに、少女漫画のようなキラキラが見える










花.松「「てぇてぇ！！！！！」」(小声)


松「矢巾、お前いつの間にそんなイケメンに...」

花「なんて初々しいんだ...！！こんなのっ、こんなの尊いに決まってる...」

及「なんだろう、この敗北感」






矢「そ、そろそろ行こうか！！///」

『う、うん...！』




赤く染まった頬を隠しながら、水族館の中に入っていった




.





.





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『わあ...！きれい...！』

矢「水槽デケェ...」








中に入って数分、大きな水槽のある広間に出た




リアクションの薄い矢巾に対して、孤爪ちゃんはキラキラとした目で泳ぐ魚たちを見ていた









『お魚さん大きいね、秀くん』

矢.花.松.及「「「(お魚さんっ？！？！)」」」







17歳の女子高生が、魚に対して「お」と「さん」をつけている

あまりにも衝撃的過ぎて、4人の目がかっぴらいたのは言うまでもない







『あ！あのお魚さん綺麗』


そう言う彼女の視線の先には、白と紫帯びた茶色の縞模様の魚がいた


いくつもの長いヒレがあり、目につきやすい魚だった







矢「ミノカサゴだね」

『みの、かさご...？』


矢「綺麗な魚だけど毒があるんだ」

『へぇ...秀くん、物知りだね』

矢「あはは、たまたまだよ」








嘘である


この男、水族館デートを計画し始めてから、魚や水族館についての豆知識を予習しまくっていたのである

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