197 -第9章 終- END. ページ39
ある意味賭けだった。
司法取引の絶対条件は、己の罪を自ら認める事、だ。
警察官として生きる道が閉ざされても、心だけでも警察官でありたいと願ったAの事だ。
目が覚めて、開口一番罪を認める事は想像に難くなかった。
だからこそあの時降谷は、2台持った携帯の内1台を、Aへの司法取引制度実施の決定を渋る上層部に繋いだままポケットの中に隠し持ち、Aの正義感に二人の未来を賭けた。
Aの答えは、聞かずともわかっていた。
降谷は、立ち上がるとそのままベッドに腰を下ろした。
そして涙を流し続けるAをそっと抱き寄せる。
絹の様な柔らかな髪の毛を片方の手のひらで優しく包み込み、Aの頭を自身の肩に引き寄せる。
そっと、けれど二度と離れないように力強く。
「…今日は、礼服じゃないんだね。」
「…また着てくるよ。」
「格好良かった。」
「照れるな…ありがとう。」
降谷の耳元で囁かれるAの凛とした声が、降谷の耳に染み渡る。
Aの腕が降谷の背中に回った。
「零」
「ん?」
「お散歩したい。」
「…怪我が完治したらな。
でもその後は忙しくなるぞ。
警察の一員としてその能力を惜しみなく発揮して貰うからな。」
「お墓参り行きたい。」
「改めてご両親に挨拶か…緊張するな。」
「あの時のホットジンジャー飲みたい。」
「それは駄目。」
回された腕は、徐々に力強く。
「…零…っ」
「…ん?」
「ずっと…っ」
「……」
「…ずっと一緒に居たい…っ」
「……っ、ああ。
これからは、ずっと一緒だ…っ」
今なら言える
彼女が生きている
それだけでなにもいらない
これ以上の幸せはない
「A…愛してる。
今までも、これからも。」
なぁA、未来の話をしよう。
俺はこの先の未来を
疑うよりも、信じていたい。
これは
立場と志は違えど
己の信念を貫いた警察官達のお話。
ーEND...?ー
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虎鉄(プロフ) - まみこさん» まみこ様、私こそ深夜にすみません!こちらにまで涙。一気読み+コメントする時間まで割いて下さり本当に有難うございます!松田氏なりに降谷氏とは違う道を進むのでお付き合い下されば嬉しいです。大切に書いた話なのでそう言って頂けて感無量です。 (2022年7月24日 0時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 応援してます!!本当にこの作品は神です!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - こんばんは!!真夜中にすみません💦一気読みしました!マジで感動しました!!あー、夢主ちゃん良かったね!!と、保護者のような気持ちで読んでましたねw松田さんのほうも読んでます、頑張ってくださいね!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(消えた捜査官松田ver作成中)(プロフ) - ひゆめさん» ひゆめ様、一気読みのお時間頂戴しまして……!かつコメントまで下さり本当に有難う御座います。クロサギ懐かしいですよね(^^)当時は全く意味分からんまま見てましたが笑。読んで下さってありがとうございました(^^)!2と合わせての返信で失礼します。 (2022年6月12日 10時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 同じく一気読みしました!!クロサギ懐かしいと思いながら進めていたら凄く惹き込まれました。とても面白かったです。 (2022年6月12日 0時) (レス) @page50 id: 141a54d8d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月2日 0時