【名探偵コナン】消えた捜査官4【降谷零】

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ー19時38分ー
真っ白なボディのRX-7は、闇夜を切り裂く様にして駆け抜けた。
途中、恐らくあの火災による通行規制と、原因は分からないが火災とはまた別の通行規制に引っかかり、思ったより時間はかかったもののそれでも到着は早かった。

潜入先でのバーボンの仕事は主に情報収集、不本意だが時として裏切り者の始末を任される事もあった。
追い詰められた者が何を考えどの様に行動し、逃亡を謀るのか、バーボンにはよくわかる。

資料に記された住所
無線にて知らされた交戦場所
その北西方向
そしてバーボンとして磨かれたスキル
それら全てを考慮、駆使し、降谷はとあるポイントに目星を付け、人気の少ない路肩に堂々と車を停めた。

降谷は車から降り、辺りを見回しながら走った。
高層ビルやマンションが立ち並ぶこのエリアは、美術館や博物館も多く、夜になると閑静な住宅街に変わる。
小さな足音と、それに大分遅れて続く大きな複数の足音が降谷の耳を掠めた。
降谷は、小さな背中を追う。

その背中は、高層マンションに入っていった。
予め入手していたのか、エントランスにあるキーロックをいとも簡単にAはすり抜け、後方を確認もせずにエレベーターに乗り込んだ。

エントランスのドアが閉まる寸前、そのドアの僅かな隙間に降谷は指を滑り込ませ、そのまま力尽くでこじ開けた。
慌てて、既に上昇したエレベーターの動きを示す階数表記を確認すると、それは止まる事なく、真っ直ぐ屋上を目指している事が見て取れた。

(…心を鬼にしろ。)

降谷の瞳が温度をなくし、バーボンのものへと切り替わる。








エレベーター内で、Aは乱れた息を整えていた。
右手に付けた腕時計を確認する。
自分の大分後ろを走る公安とは別に、途中から誰かもう1人尾けてきているのは分かっていた。

エレベーターが上昇する寸前、扉に背を向けたまま動き出すエレベーター内で、Aは目の前の大きな鏡に反射する金色に気付いていた。

押していた「21」のボタンを素早く2回押す事でキャンセルし、改めてAは「R」を押した。

ー19:52ー







(補足)
2回素早く押してキャンセルは、割と有名なエレベーター裏技です。
使える使えないありますが( ﾟдﾟ)

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