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「Aさんはさ…悪い人達の敵、だよね?」
それはいつか、コナンが安室にも投げかけた問いだった。
あの時の安室はなんと答えただろうか。
コナンは固唾を飲んでAの答えを待つ。
「探偵くんにとって、悪い人ってどういう人?」
「え?」
変な所で適当なAの事だから、ズバッと一言で答えが返ってくるかと身構えていたコナンは突然の質問返しに狼狽える。
「君がいう組織の事?
…でも、そこに所属する全てがそうかと言われたらそうじゃない。
じゃあ悪い人の定義って何だろう。
人を傷付ける人?
絶対的な正義を持つ警察と対立する犯罪者?」
「……っ」
「悪い、の定義なんて人それぞれじゃない?
世間一般的には、私も法を犯す立派な悪い大人だよ。」
(それでも…俺は…)
ー『ほんの少しで良い。信じてほしい。』ー
「それでも僕は、Aさんの事、信じるよ。」
「…そっか。」
毛利探偵事務所の下の階にある喫茶ポアロが見えてくる。
閉店時間をとっくに過ぎているポアロは、何か作業でも行っているのか、珍しくまだ明かりがついたままだった。
「あれから安室さんには会った?」
「あれからがいつからかは分からないけど、会ってないよ。」
「…会いたいとは思わないの?」
「会う理由がないよ。
それに、あの人怒るとすごーい怖いからやだよ。」
「ふーん…」
Aの嘘にコナンは気付いていた。
ここ最近は別として、比較的ポアロに居る事の多い安室が、今確実にポアロには居ない事を知らなければ、Aは堂々とこの場所までは来なかっただろう。
「じゃあ、大人しくあの子にでも怒られて早く寝るんだよー」
「…ちょっと待ってて‼」
そう言うや否や、コナンは事務所に続く階段ではなくポアロの扉を潜った。
数分待たずしてコナンはすぐに出て来る。
「あのさ、Aさん。」
「ん?」
「明日の夜8時、探偵事務所に来てほしいんだ。」
「明日?」
コナンの目は真剣に何かを訴えようとしていた。
「…わかった。」
「絶対だよ、…僕を信じて?」
「コナン君!こんな時間までいったいどこに…っ‼」
「ごめん蘭姉ちゃん…」
「もう心配したんだから‼」
「蘭姉ちゃん、お願いがあるんだ。」
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虎鉄(DC一時お休み中)(プロフ) - スカイさん» スカイ様、返信遅れて申し訳ありません!コメント下さり有り難う御座います(^^)スカイ様の涙腺を刺激出来たなら本望です笑。御礼を言うのはこちらの方です。短くはないこの作品を読んで下さり、そして感想まで下さり本当にありがとうございました!!感謝です。 (2020年6月20日 10時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - すごく感動しました。涙が溢れてきて胸がキューとなってこんな素晴らしい作品を作ってくださりありがとうございます (2020年6月13日 2時) (レス) id: 8bcf366f5d (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - しろさん» なんと嬉しいお言葉でしょうか。自己満足の小説に、その様なコメント頂けて嬉しいと感謝の他に言葉が見つかりません。落胆されぬ様にこれからも執筆させて頂きます!これからもよろしくお願いします。ありがとうございます! (2018年5月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 初めての感覚です。何か映画や連ドラを見てる気分でした。心の底から応援してます!!こんなに引き込まれるのは初めてです!!!! (2018年5月30日 18時) (レス) id: fe2831d1b4 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - KAZUKIさん» コメントありがとうございます!身に余るお言葉…そう言って頂けて本当に嬉しいです。10枚以上書き連ねたプロットが報われる様な気がします。話が重く複雑なので悩む事もありましたが、書いてきて良かったです。もうすぐ佳境です、引き続きよろしくお願い致します★ (2018年5月30日 0時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年5月20日 15時