【名探偵コナン】消えた捜査官3【降谷零】

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次の日、人知れず追い込まれている降谷の端末に一報が入った。
現時点で、Aがキュラソーと取引を交わし、ノックリストについて何らかの情報を持っているという事は降谷とコナン(降谷は知らないが灰原も)しか知らない事実だった。

「降谷さん。
先日、Nシステムにかかった黒いポルシェを頼りに時間を遡り…ようやく綾瀬Aの足取りが掴めました。
時間は掛かってしまいましたが、現在の住居も特定済みです。」

電話口の風見の声は、緊張で強張ったいつもの様な声ではなく、どこか明るいものに感じられた。
そしてその優しさが、降谷をまた苦しませた。

「後は降谷さんが説得に」

「風見。」

「、降谷さん？」

これ以上、聞くのは耐えられないとばかりに降谷は風見の話を強引に遮った。

「風見、俺たちが守っている物はなんだ？」

「え？…この、日本という国の安全と未来です。」

風見の言葉が、降谷の中にスゥと溶けていく様な感覚がしたと同時に、改めて自身が守るものの重さに身の引き締まる思いがした。

ここが自室で良かったと降谷は心から思った。

降谷の目は固く閉じられ、端末を握る右手は小さく震えている。
いつも気丈な降谷零の姿は、そこにはなかった。

「風見…ごめんな。」

「降谷さん？」

突然の謝罪に風見は動揺を隠せない。


(早く、告げなければ。)

国を守る公安警察官としての自分が、弱いズルい心を叱咤する。



「綾瀬Aが、生前のキュラソーと何か取引を交わしていた事が発覚した。」

「…‼」

風見の息を呑む音が聞こえる。

「キュラソーへの対価は、観覧車に取り残された子供達の護衛と救出だ。
逆に、綾瀬Aへの対価が分かっていない。
…が、十中八九ノックリストに関する情報を得たに違いない。」

「……そんな、まさか。」

「綾瀬Aを、重要参考人として引っ張る。
抵抗するようであれば…強行手段も辞さない。」

「降谷さん…」

「日程は追って連絡する。
班の捜査員全員に伝えろ。
何があっても綾瀬Aを逃すな、と。」







ただひたすら
前だけを見て進んできた
けれど
進めば進むほど
足元に蔦が絡みつくように
身動きが取れなくなった

かけがえのない仲間達が歩みを止めようが
時に理不尽な辛さに喘ぎながら

それでも
この国の未来を守る事に繋がると信じた


『一緒に未来を守ろうね』

『ああ』

あの時の言葉に嘘はない

けどな、A

俺はお前が笑ってる未来を

守りたかったんだ。

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