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112 -第3章 終- ページ36

「…この件から降りたんじゃなかったんですか」

「それは、ありがとうって意味で捉えて大丈夫か?」

「…どうぞご自由に。」

信号で止まった白石は、横に視線を向ける。
Aは、座席のシートを目一杯倒し身体を預けている。
自由に動かせる右腕で目元を覆っている為、表情を窺い知る事は出来ない。


白石は、自分に対して不快感を隠そうともしなかった降谷を思い出す。

「…お前さ、残される側の気持ちって考えた事あるか?」

信号が青に変わる。

「考えなくても知ってる。」

「ああ…そうだったな、悪い悪い。」



「にしても、脂の乗った20代の殆どを詐欺に費やすなんてな。
俺が父親だったら、怒り狂うか悲しくて泣けちゃうね。」

Aの脳裏に、少し前の赤井の言葉が蘇る。
ため息を飲み込んだ。

「怒るのも悲しくて涙が出るのも…生きてなきゃ出来ない。
自分の思いを行動で伝える事が出来るのは、生きてる人間だけの特権でしょう。」

「お前だって生きてるだろ。
美味いもん食って、たまには恋愛もして…
それだって生きてる人間の特権だ。」

白石には、Aが徐々に苛立ってきているのがよく分かった。

「何が言いたいんですか。」

「少しは考えろよ。」

「……」

「……」

「綾瀬Aは、もうあの時に死んでる。
ここに居るのは、ただの亡霊。」

ギアを握る白石の手に力がこもる。

「お前がこれからやろうとしてる事は
きっと…
正しいんだろうな。」

白石は独り言の様に呟いた。
右腕に隠されていないAの口元に笑みが浮かぶ。

「何が正しいかわからないんじゃなかったの?」

「お前聞こえてたのか」

「前半意識飛んでたからそこだけ。
起きても発車してないからビックリした。」



それぞれの夜が明ける。

ー第3章 終ー

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» こちらこそいつも読んで下さって本当に感謝です!後に浮かんだ方が主人公らしいかなとは思うんですが、まだ引っ張る?って自問自答してます笑。ラストまでまだまだなのでゆっくり考えます。すれ違った分どうか幸せに…。どうかこれからもよろしくお願いします! (2018年5月18日 0時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - 進行速度が遅いだなんてとんでもない!毎日の更新、本当に感謝ですm(__)mサラッと終わっちゃうんですか(; ゚ ロ゚)!?ハッピーエンド好きな私としては、どうか分かち合って欲しい(>_<)でもどんなエンディングにせよ、虎鉄さんに付いていきますので頑張って下さい!! (2018年5月17日 22時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - いぶさん» ご指摘ありがとうございます!一個年上でしたね(u_u)部下=歳下とばかり思い込んでました。ご指摘下さって本当に感謝です^_^!後でこそっと修正します笑。ただ今いそいそと書き上げておりますので、長い小説ですがこれからも読んで頂ければ嬉しいです^_^★ (2018年5月13日 22時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
いぶ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。95のシーンで風見より年上のあの人と私は、というところがありますが、降谷さんは風見より年下だったと思います。もし、あの人が降谷さんでなかったり、この中では変更していたらすみません。これからも頑張ってください。 (2018年5月13日 22時) (レス) id: e657a95109 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» ぴよこ様に見限られてなくて良かったです笑!これからもすれ違うのを先に謝っておきます笑。コメントいつも本当にありがとうございます!たまに見返して書く原動力にさせて貰っております。まだまだ完結まで遠いですがこれからもお付き合い頂けると本当に嬉しいです★ (2018年5月9日 15時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年5月9日 2時

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