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無事に地上に降り立ったAは、すっかりいつもの調子を取り戻した子供達の元を離れ、歩き出した。
途中、歩みは止まる。
遠くに見えるひしゃげた黒い鉄の塊をぼんやりと眺めた。
Aは祈りを捧げるように、目を閉じた。
「…約束は守りましたよ。」
『観覧車のゴンドラにまだ子供達が取り残されてるの。
あの子達をなんとしてでも守って。』
「……」
(出来る事なら貴女も守りたかった)
再びAは歩き出した。
少し行った所で、草の踏む音が聞こえた。
木の陰に隠れるように潜む人物を視界に捉え、Aは再び立ち止まった。
「派手にやったな。大丈夫か?」
「…至って元気です。
その姿では、初めましてですね。」
「……かもな。」
「…?」
首を傾げるAを、真剣な瞳で赤井は見遣った。
「君は今、一体何をやっている。
見たところ、警察組織には属していなさそうだが。」
「……」
「日の当たらない仕事か。
君の父親は知っているのか?
さぞ悲しまれる事だろう。」
赤井はいつになく饒舌だった。
何かを訴えかける様な語り口に、Aは居心地の悪さを感じる。
「…悲しむ事が出来るのは、生きている人間だけですよ。」
「…‼ …もう、居ないのか。」
どちらともなく口を開こうとした時、Aはある気配を感じ、赤井に挨拶する余裕もなく、足早にその場を去った。
「……」
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虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» こちらこそいつも読んで下さって本当に感謝です!後に浮かんだ方が主人公らしいかなとは思うんですが、まだ引っ張る?って自問自答してます笑。ラストまでまだまだなのでゆっくり考えます。すれ違った分どうか幸せに…。どうかこれからもよろしくお願いします! (2018年5月18日 0時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - 進行速度が遅いだなんてとんでもない!毎日の更新、本当に感謝ですm(__)mサラッと終わっちゃうんですか(; ゚ ロ゚)!?ハッピーエンド好きな私としては、どうか分かち合って欲しい(>_<)でもどんなエンディングにせよ、虎鉄さんに付いていきますので頑張って下さい!! (2018年5月17日 22時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - いぶさん» ご指摘ありがとうございます!一個年上でしたね(u_u)部下=歳下とばかり思い込んでました。ご指摘下さって本当に感謝です^_^!後でこそっと修正します笑。ただ今いそいそと書き上げておりますので、長い小説ですがこれからも読んで頂ければ嬉しいです^_^★ (2018年5月13日 22時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
いぶ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。95のシーンで風見より年上のあの人と私は、というところがありますが、降谷さんは風見より年下だったと思います。もし、あの人が降谷さんでなかったり、この中では変更していたらすみません。これからも頑張ってください。 (2018年5月13日 22時) (レス) id: e657a95109 (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» ぴよこ様に見限られてなくて良かったです笑!これからもすれ違うのを先に謝っておきます笑。コメントいつも本当にありがとうございます!たまに見返して書く原動力にさせて貰っております。まだまだ完結まで遠いですがこれからもお付き合い頂けると本当に嬉しいです★ (2018年5月9日 15時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年5月9日 2時