29話【娯楽小説】 ページ30
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「麗は娯楽小説に興味はないのかい?」
あの不気味な風向きの件から数週間後、不意に茶屋で茶菓子を食べていると突然現れた平蔵にそう言われ麗は『読むことには興味あるかな』と答えた。
『急にどうしたの?それに今公務中じゃない?』
「サボっちゃった」
『娑羅ちゃんに叱られちゃうよ』
「お願い麗、見逃して?」
『平蔵くんが真面目に仕事するなら見逃すよ』
「えぇー麗ってばそういうタイプが好きなのー?」
『違うよ。それで、娯楽小説がどうしたの?』
麗がそう聞くと平蔵は待ってましたと言わんばかりの顔をして「麗って宮司様と仲いいでしょ?」と言う。
「推理小説をおすすめしてくれない?」
『おすすめしなくてもその内神子は推理小説に良さに味を占めるよ。
少なくとも、平蔵くんがモデルにでもなる小説でも出るんじゃないかな』
「へぇ、それはいいね」
「話は変わるけど麗はあの事件知ってる?」と足をパタパタさせる平蔵に『あの事件?』と聞き返す。
「岩王帝君暗殺事件」
刹那、麗の手から三色団子の串が滑り落ちる。
滑り落ちた串を平蔵が間一髪で受け止め麗に再度渡す。
『え……どういうこと?
岩王帝君が…え?』
「つい先日、迎仙儀式で殺されちゃったみたいなんだよね。
しかも同時期に魔神オセルも復活したとか。
魔神のことはファデュイが絡んでるとか言ってるけど」
『ファデュイ…』
そういえば風の噂で公子が璃月に行ったと聞いた麗は彼の仕業ではないかと思ってしまう。
「まぁ僕は岩神が誰に殺されたかが気になるんだよね。あーあ、将軍様が鎖国令なんて出さなかったら璃月に行ってたのに」
平蔵はぐっと伸びをし「そろそろ行かなきゃ」と立ち上がる。
『どこか行くの?』
「ちょっと依頼でね。しばらくは帰ってこないかな。休暇も含んでるから」
「その間に推理小説出たら帰った時教えてね」と言い、平蔵は足早に去っていった。
ぽつんと残された麗は平蔵に教えられた情報が頭の中を回転にぐちゃぐちゃにする。
その中に優しい笑顔の少女と厳しそうな表情の少年が脳裏を過ぎる。
『………お姉様達、大丈夫かな……』
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます!感想書いていただいて嬉しいです!伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください! (2022年7月10日 23時) (レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します!ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです!続編がますます楽しみになる作品ですね、、更新待ってます! (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空華 | 作成日時:2022年7月4日 22時