27話【探偵】 ページ28
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『鹿野院………あぁ！君が依頼人かぁ！』
少年の名前に既視感を覚えた麗は数回頭の中で名前を反芻すると依頼した人間だと気付き声をあげる。
「正解〜」
『でもなんでわかったの？御品書きにはまだ書いてないのに…』
「そんなの簡単だよ。君の割烹着にはねた油が着いているしここの獣肉とかはあまり新鮮じゃないから串カツは無理でしょ。
だったらまだマシな野菜を使って天ぷらにしてるのかな？って」
『すごーい！さすが探偵さん！』
麗は思わずパチパチと拍手しながら揚げあがった野菜たちの方に目を向け歩く。
小皿に1つ小さな海老天を載せるとまた平蔵の元に戻る。
『平蔵くん』
「ん？なぁに」
『はい、これ』
麗は海老天が乗った小皿と箸を平蔵の方へ置いた。
『味見。みんなには内緒ね』
「いいのかい？そんなことしちゃっても」
『それじゃあ御品書き当てたご褒美の方がよかった？』
麗は意地悪そうに平蔵に言うと彼はうーんと少し悩むと意を決したように箸を取る。
「ご褒美じゃなくて報酬ね」
『はいはい、じゃあどうぞ』
「それじゃあいただきます」
海老天を器用に取り平蔵は口に運ぶ。
その食べる反応を麗は嬉しそうに見る。
「ん〜！美味しい！やっぱり君に頼んでよかった」
『そういえばどうして私に？』
「奉行所の御品書きはお世辞にも美味しいとは言えないからね。でも雇ったりしたらどこかの真面目な大将さんに怒られちゃうでしょ？」
「そこで君の噂を聞いたって訳」と言う平蔵に納得する麗。
『じゃあ普段はどうしてるの？』
「こっそり抜け出して外で腹ごしらえしてる」
「みんなには内緒ね」と可愛らしく笑う平蔵を見て麗はとある人を思い出し似てるなぁと思った。
そんな麗の視線に気づいたのか平蔵は「どうしたの？」と問いかける。
『んー？ある人に似てるなぁと思ってね』
「ある人？」
『私に音楽やお酒を教えてくれた人。
今はモンドの吟遊詩人をしているんだ』
「へ〜、麗は変な人にお世話になったんだね」
『変な人じゃないけど……名前言ったっけ？』
「君はここら辺で人気なんだよ？
探偵の僕が知らないわけないじゃないか」
言われてみればそうか、と思う麗にふふと笑う平蔵。
その後ろに少し大きな影が現れる。
「いないと思ったらここか鹿野院……」
「あ」
『娑羅ちゃん』
平蔵が娑羅にこってり絞られるのは別の話。
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます！感想書いていただいて嬉しいです！伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください！ (2022年7月10日 23時) (
レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します！ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです！続編がますます楽しみになる作品ですね､､更新待ってます！ (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空華 | 作成日時：2022年7月4日 22時
