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25話【ムジナ】 ページ26

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結局鳴神大社へと帰るため鎮守の森の中へと歩んでいた麗。





『はぁ……あの装置、神子なら知ってるかな…』





とぼとぼと歩くとがさ、と何か音がした。
辺りを見回すと川の近くに不自然な樽がポツンと置かれていた。

麗はそれにそろりと近づきコンコンと叩く。






『誰かいるー?』

「だ、誰もいないぞ!」





樽がするはずのない返事が聞こえ、カポッと樽の蓋を開けるとこじんまりしている狸のような被り物を被っている少女がそこにうずくまっていた。




『こんなところでどうしたの?
ヒルチャールに見つかっちゃったら元も子もないよ』

「うぅ…お狐お姉さんの遣いに見つかった…」

『お狐お姉さん?………神子のこと?
別に遣いではないけど……君はなんでここにいるの?名前は?』

「拙は……終末番、早柚」

『終末番…?』





なんだか聞き覚えがあるような…と思っているとザクザクと誰かがこちらに向かっている音が聞こえ早柚は樽にもう一度隠れる。






「おや、麗ではないか」

『神子!』





現れた人物は神子だった。





「汝、たたら砂に行っていたのでないのか?」

『目標達成ならずだったから戻ってきたの。
神子は?』

「ムジナを探しておってな」

『ムジナ?』

「うむ、終末番の早柚という娘なのじゃが……知っておるか?」

『早柚ちゃんは……』





麗は早柚ちゃんは後ろにある樽にいるよ、と言おうとしたが早柚の先程の反応から見て彼女は今神子に会いたくないのかなと思い慌てて言い直す。





『早柚ちゃんはどんな子なの?それに終末番って?』

「社奉行の神里綾人の隠密部隊じゃ。
早柚は隠れるのが得意なようで探すのが大変な子じゃな」

『綾人くんの…でもすぐに見つかるんじゃ…』

「しかし……早柚が見つからんと困るのは鹿野奈々じゃぞ?よいのか?臣民が困っておるぞ?」

『うぐ……し、知らないったら知らない!』





麗はそっぽを向くと神子は「ほう」と意地悪な笑みを浮かべながら麗の方へ歩き麗の顎を掬う。

雷のような紫の瞳が麗を写す。





「本当に?」

『……………本当に、しら、ない』

「……ふむ、そうか。なら妾は他を探すとしよう」




神子はそのまま別の方向に行き、姿が見えなくなった。

麗は安堵の息を吐き、早柚がいるであろう樽を目を向けるがそこには虚空しか無かった。

どうやら神子と話している間に逃げたらしい。

麗は腰を少し抜かした。





『神子には誤魔化すのやめよ…』

26話【御品書き】→←24話【たたら砂】



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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます!感想書いていただいて嬉しいです!伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください! (2022年7月10日 23時) (レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します!ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです!続編がますます楽しみになる作品ですね、、更新待ってます! (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空華 | 作成日時:2022年7月4日 22時

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