【名探偵コナン】笑って、マイヒーロー【紺.青.の.拳】

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『(居ないって聞いてたけど居るじゃん)』
　
　それなら邪魔したら悪いよねーと考えた時、椅子に一人で座るアーサーくんを見つけたのだ。
　なぜか蘭と新一を見ているようだけど、その目はジト目だ。時折頭を掻き毟っている。
　んん？ この図は蘭に近づいてる新一に嫉妬してるのかな？ 近頃の子供は多感だなー。
　
『アーサーくん！』
「わっ！？ って、A姉ちゃん！？」
『ふへへっ、だいせーかい！』
　
　そんな彼の背後に回って勢いよく抱き締めてれば、振り返った彼は顔まで真っ赤だ。可愛いすぎる！
　恥ずかしさからか、わなわなと震える彼は振り返って私を見たものの気まずそうに視線を逸らしてみせた。
　
『そうか、今はお互いに水着だもんねー。恥ずかしいのか！ このおませさんめ』
「(んにゃろ。いい加減自分の容姿に気付け！)」
『どう？ これは新作の水着なんだよー』
　
　公には発表されていない“BLISS.F”の新作水着だ。しかも、お母さまが私のためにと特注で作ってくれたデザインである。
　彼から離れて全身が見えるようにしてみせた。
　白地というのは私のリクエスト。控えめにあしらわれフリル。そして、綺麗に配列された青色の細かいストーンは今回の“紺青の拳”に合わせてだった。因みに、胸元を飾るアクアマリンはお父さまより“今回のため”だけに頂いたジュエリーだ。
　
「もしかしてA・フォスターじゃないか？」
「うわ、本物美人。写真お願い出来ないかしら」
「新作の水着かな？ 私もほしい！」
「写真一枚お願い！」
　
　気付けば周囲の視線をちらほらと感じるようになる。髪の毛も濡れないようにとアップにして、サングラスをかけてきたけれど、気付く人は気付くようだ。
　英語やら中国語で詰め寄られて、あちらこちらからケータイを差し出される始末。
　
　
　

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