華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

56:父さんの弟子 ページ7

部屋に案内され、ソファに座れと促されて座ると
ホットココアが目の前に置かれる



「にしても、寺井ちゃんも大変だね〜」

向かいの席に座ってるAがそういった



「母さんがこきつかいすぎなんだよ…
まーでも、明日の準備はもう万全だしな、

寺井ちゃん律儀だし」


「頼りになる人だよね、確かお父さんの…？」


「あー、付き人っていうか弟子だったらしいな
免許もたくさん持ってるし
情報収集においては特に早くて正確だし
サポートこそ長けてるし
何かと世話になってるよ」


「へぇ…
ならお父さんのお弟子さんなら、マジックも結構できる人なんだね、
うちの神田さんと同じだ」


「え？それじゃ、神田さんは…」

「はい、私はA様のお父様の弟子でして、
お兄様の琉斗様と同じように教わっておりました」


少し離れたキッチンにいる神田さんが顔だけ出して答えた



「んー、まあ一応こっちもマジシャン一家といえばそんなもんなんだよね
ただその時はあんまり私の方は教わってないんだよね…
見学はしょっちゅうだったけど」


「へぇ…何で？」


「…火とか危ないから？まあ基本的物の用途そのまま使わないことも多いし
…それに兄は私の驚き加減でマジックの出来をみてたからね、
だから御披露目のときのリハーサルとか私全部見てるんだよね
何度も見てタネもわかるようになってくるし
兄ばかり教わってばかりで

…だからある日ついに私、いい加減みるだけはヤダ！って」


「あー、ありましたねぇ…そんなことも

A様は当時からしっかりしてましたが、
それでもマジシャンになるにはまだ幼く、
将来マジシャンじゃなくてもいいともおっしゃってましたから

御主人様は大層お困りの御様子でしたね
火傷なさって危ない目にあわれないかとか、
扱い難しいものをさわったりしないだろうかとか
…私は常日頃からなにかアクシデントがおきないよう
見張りを任されていましたから

ぁ、せっかくですからマジックルームご案内致しましょうか」


「ぇ、マジックルーム？」


「稽古部屋とか物が色々置いてあるとこだよ、
黒羽君とこもあるんじゃない？
あれだけ大規模なことやってるんだから

…行く？」


「おう、行く
なるほどな…
だからやけに建物造りが歪でいかにも地下がありそうなわけだ

因みに俺んとこは俺の部屋と繋がってて入ると親父が喋りだす笑」


「ぇ、なにそれ笑」

神田さんの後に続いてAと話ながら
その部屋に行く

(しっかし、広いなぁ…)

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