華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

80:不幸中の幸いに ページ31

「……貴女は此処の博物館に来たが、
人が多くて人混みの中が耐えきれなくなって
此処で一息ついていた

そうではないですか？」

(…はぁ…なんだこの状況)

……



「……はい

……人混みの中で誰かに押されて
足を少し捻ったので……」



(便乗するのが一番だよね
因みにそのままだと脳がないから
足を捻ったといったけど



実際、私は確かにさっき捻りました苦笑)


彼には奇跡的にバレてないらしい
Aであるのも、RUIであるのも

私とは初対面だと思っているよなきっと
タイミング的にKIDだとも思われてない


「……お足元、
お怪我とか、大丈夫ですか？」


「……はい」



(ぁ、そうじゃん
屋上まで階段をわざわざ上ってきたことに
なるじゃん


捻ったのに……)

不意に焦りが増す

(こりゃまずいぞ、バレるか？
とりあえず不審に思われただろうな
KIDじゃなくても手下だと思われる可能性も)


「……大丈夫です、大事には至らなかったので……
でもそんなところにいたらまた怪我しそうで


人混み苦手で……


一緒に来てた人ともはぐれてしまって」


(まぁ……その人が今騒動起こしてるだろうけどね笑笑)



辻褄合わせるように必死に考えていう
何気に連れもいることをいう


「……そうですか


ですが今日はKIDが来ることを貴女もご存知でしょう？

……こんなところで一人は危ないですよ？」



(私としては彼が一番安全なんです…
なんていえない
とりあえず赤の他人なのでほっておいてほしいよ…)



「でも…KIDは宝石を狙うんですよね？

ならそれをとることにしか目がないのではないのでしょうか…？」



「KIDはハングライダーが得意です
なのでそれを使うために屋上から飛び立つ


つまり彼は屋上に来るということ
特に今日のような風がひどく強くなく
程々な日は特に、ね」



「はぁ……」

(んー、まぁそれも一理あるけど、
それだけじゃないような
どっちかというとー月に翳すからだよね…
外にでたほうが翳しやすいし、
だから月をバックにして彼は飛び立っていく

…でももし新月の日に鈴木のお爺さんとか偽の予告状とか、タイミングで重なる場合どうするんだろ…
てかそうじゃなくても雲で隠れている場合もあり得るかな

…今度聞いてみようかな)

まぁ何となく彼は一般人の私を事件に巻き込みたくないから、忠告してくれているわけで
疑われていることは薄いことがわかった途端
少し緊張がとけて頭がまわるようになってきた

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