華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

79:よりによって ページ30

…………



「……こんなところで

……羽休めですか？」



(え？)


てっきり何してるんだ
と警備の人に聞かれるとばっかり思っていたけど……



ってかちょっと待って！……
この声ってまさか…



ゆっくり振り向いたら


今、世界一番会いたくないであろう人がいた
……その名は


「む、20時32秒ｺﾝﾏ03……
予告時刻から34秒ｺﾝﾏ08経ったか……」



そう、お分かりだろう
あのいかにもそれと分かりやすい服を着ている

国際的…かどうかはよく知らないけど
高校生探偵、同級生の白馬探だ



「どうされましたか？
……どこか具合でも？」



(君こんなところにいて大丈夫なの？
今頃彼は宝石とっているのに
真っ最中なのに加勢しないなんて


……諦めたのかな


あ、いやもしかして、此処で待ち伏せとか？

……ぇ、それ一番困るよ)



「大丈夫ですか？お嬢さん」


彼が近づいてくる


出来るだけ近くに来ないでほしい
バレたら困るし
とりあえずこの場から彼を遠ざけなければ

だけどそんな願いも露知らず
彼にそっと肩に手を置かれたと思ったら
気付いたら間近で見詰められていた

(ちかい…)

少し後ずさったつもりだが
うまく動けなかったらしい

そういえば此処、
はしっこのわかりにくい場所だから


逆をいえば
近くにはすぐ壁だったような…苦笑



「あの……

大丈夫です」

すると彼はちょっと驚いたようだった
目を見開く瞬間があったから
(あれ、今何に驚いたんだろう)

よく見たら彼は黒いイヤホンを片方だけしている、どうやらKIDが出現して行動をいるようだ

彼は少しだけ眉をひそめる
盗聴器から何が聞こえるのかはわからないけど
彼的にはあまりよくない状況
催眠ガスでもまいたかなぁ苦笑

(そうか、むしろKIDかもしれないと思われても可笑しくないんだ
そういえば羽休めとか言ってたもんな
これで私の疑いは晴れたって訳ね)

KIDはハンググライダーで飛べるからここの屋上に降りたって、警備や施錠が甘い上から展示会場に行く場合も考えていたのかもしれない

…というかわざと警備を甘めにしたのか？
実は探偵が潜んでいるっていう罠にして

彼は普通に下から入ったけどねー笑
もしかしたらその罠も気付かれてたかもね

(それはそうと声、大丈夫かな…バレてない？
変にリアクションとられると焦るなぁ)


「……貴女は此処の博物館に来たが、
人が多くて人混みの中が耐えきれなくなって
此処で一息ついていた

そうでないですか？」

80:不幸中の幸いに→←78:誰かが…

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す