華麗なる奇術師たち 1【怪盗キッド】

48:久しぶりの休暇 ページ48

A side



(はぁ……

暇だ、暇すぎる
大体こんななにもしなかった日ってある？


結局、ごそごそなんだかんだ起きてる感じ

といっても点滴が昼までかかったからベッドでずっとそこにいなくちゃいけないから

スケッチブックを神田さんに持ってきてもらって
鉛筆で気まぐれな落書きする



久しぶりだもんな、絵を描くのも
学校の美術授業以来か……

鉛筆さえも懐かしい
中高とシャーペンばっかり使ってるもんな

これといって何を書こうと決めたわけでもない
テキトーに手を動かしてできた雰囲気に合わせて
描くものを決めていく

これ上手くいったときの達成感が半端ないんだよね)


なんて黙々と手を動かしてたら…
いつの間にかあるものを書いてしまっていた


(あれ？いま思ったけど
何故これなの…

なんかそればっかりで恥ずかしいな
…最近の私の心の変化？
ずーっと最近見かけてたし

まぁせっかくだからしっかり描こうかな

確かここはこんな感じで

ここはフワッとしてて…
いやもっと輪郭はあるかな


それなりに仕上がったかな
えっとーこれは…


うん、しまっておこう、みられたら恥ずかしい

それだけ今の私には影響力があるってことか…)

改めてそう思い知らされた



(そういえば学校と仕事を休むんだから
学校はまあ入院でいいけど


仕事の方は何も私から報告してないな
世間的には黒羽君がしてくれて
一応成立してるけど
なんていったか実際わからないし


仕事する立場の人間としてしっかりしないとな
体調は不覚にも崩してしまったし

だけど、ちゃんとした休養をとるっていう報告を改めてしようか)


サイトを覗く
(……これは更にしないといけないな…

まぁそんなひどい音出して倒れたからかな…)

幸い確か私には衝撃感じなかったし、けがもないから
黒羽君が支えてくれたから大丈夫だったんだけど
神田さんに相談したら、謝罪と報告するに越したことないだろうと
いう話向きですることになり…


でも手が動かない

あと、ボタン押すだけなのに

正直勇気がなかった、マスメディアは怖い

たった一言で人を味方にも敵にもしてしまう
発信すれば瞬く間に広がる


もしかしたらこれが怖くて休めなかったかもしれないんだな
休むの我慢すればこんなことしなくていいから


そしていつの間にか私の指は勝手に動いてて
でも宛先は全く違い、


黒羽 快斗




昨日の黒羽君とこで交換した電話番号…
何故か彼が電話に出るのを待っている私がいた

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