華麗なる奇術師たち 1【怪盗キッド】

33:強いけど弱い君 ページ33

……
Kaito side



彼女がみた悪夢について話してたら彼女が泣いてしまった


でもそんな彼女も含め 知ることが出来てよかったなんて思う自分がいた


「spotlight、昨日探してるって話したでしょ？」


(あぁ、言っていたな)


『…spotlightの一つです…これと対の宝石を探していて…それが子供の石なら…親の石を』


彼女が昨日、いやRUIが言っていた言葉だ


「spotlight、私の祖父の形見でね、

それがその手紙封筒の中に入っていたの…
子供石が

その時思ったんだ…

親石は兄が持ってるんだろうなって…なんとなくだけど」


俺は黙って聞いていた
その間もAの目からは涙が少しずつ流れている



「…spotlight、兄の物が見つかったら何かわかる気がして…

私はそれと兄自身を探してる
兄の得意なマジックで有名になって…


でも…」


彼女の涙はさらに溢れて
一気に流れ出した


(ああもういい、
なにも言わなくてもいーから)


俺はいたたまれなくてつい




身を寄せてその震える体を抱きしめていた

……

コンコン

「ぼっちゃま、いらっしゃいますか？」

寺井ちゃんの声で目をさましたら
ベッドに寄りかかるようにして寝てたらしい


辺りは暗くなって夕方に

(あぁ、もうこんな時間なんだ…
…お昼ってあれ？食べたっけ…

…まぁいっか


何か忘れてる気がする…
何だ？


温かくてただただ優しくて
強いけど弱くもあって…

あ!!!)


「ごめん、寝てた寺井ちゃん!!!

なんだった？ってかAは？」


「御二人が寝ていらっしゃるだろう間に
少し出掛けていたのですが…

帰ってきたらこのようなメモがあって…」



『寺井様、今日は突然お邪魔させてもらってありがとうございました。黒羽君には色々話しも聞いてもらって、久しぶり人に打ち明けることができてとても嬉しかったです。また機会があればその時はよろしくお願いします RUI』


(ちょっ、おいおい俺には？)
するとタイミング良くトランプが俺の服から落ちてきた


「何だこのトランプ、ってこれ」
裏側にはAのメッセージがあった


『黒羽君、今日はありがとう
黒羽君はまた怒るかもしれないけど、久しぶりゆっくり休むことができてよかったよ
そろそろリハーサルがあるので行きます
またね A
PS 黙って出てってごめんね』

最後には泣いたウサギのイラスト

(ったく本当だよな、勝手に姿消すなんてさぁ)


そうおもいながらもなぜかその一枚が大切に思えてそっと机のなかにしまった

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