第348話 ページ19
『共犯者』。言葉の響きが妙に心地いい。
カップラーメンの強すぎる塩気が和らいだ気がした。
「先、寝てるけど」
「うん……おやすみ」
自分の使った食器を洗って、私はソファに横になる。
快斗の部屋に行こうとはーー快斗を追いかけようとはしなかった。
いつも助けられてばかりだなと苦笑して、瞼を閉じた。
* *
朝ーーかどうかはわからないが、目が覚めた。
なんかあったかいなと思ったら毛布がかけられている。
まだボーッとしていたい。あーでもスピーカーとか作んなきゃと思い体を起こす。
「げ……14時すぎ」
お昼のワイドショーも終盤でドラマの再放送が始まるくらいの時間だった。
下手をすれば快斗が帰ってくる時間だ。そんなに寝ていたか、と反省して身支度をする。
寺井さんのほうがきっと爆薬とかを調達していると思うからとりあえずスピーカーか。
さっさと買ってこようと思い、黒羽邸を出た。
日差しが少し眩しい。足早に駅に向かって目的地へ。
平日なのに人は多かった。子供一人でいると浮くなあと思いつつ買い物をすませる。
「これと……これと……大丈夫かな」
思ったよりも買ってしまった。
両手いっぱいに袋を持って店を出る。
「半分持つか?」
「あ……ありが……え、快斗?」
まるでマジックのように、快斗が隣に突っ立っていた。
あたかも一緒に買い物をしていたみたいにーーずっとそこにいた風だ。
「いつから居た?」
「いつからだと思う?」
意地悪な笑みを浮かべて、快斗は私の左手に持っていた袋を持つ。
怪盗キッドの白い衣装の時とは違う、見慣れない学ラン姿だ。当たり前だが。
「青子は?」
「あー恵子と映画見てくるから先帰れって」
「なんでここにいるってわかったの?」
「おめーのことだから、どうせこの時間まで寝てんだろって思ったから」
「せーかい……」
珍しいなあ一緒じゃないなんて、と思う。
映画も快斗と行きそうなのにーーあ、テレビで怪盗キッドのことばっかりやってるから機嫌が悪いのかもしれないな。
「この後は?」
「ブルーパロットで寺井さんから色々もらってこようかなって」
「あーじゃ、俺取ってくるから先に帰ってろよ」
「え、まじ、ありがと」
なんだか妙に優しいな? いや、いつも通りか?
まあさっさと仕事しろってことなんだろうな。
快斗と別れて、黒羽邸に戻りスピーカー作りに取り掛かる。
小型って……台にいい感じに取り付けられる大きさか。
爆弾作る方が楽かもな、と手を動かす。
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匿名 - 初めまして。楽しく読まさせて頂いています。一つ尋ねたいのですが195話で言っていた「零」シリーズ?はどこに行ってしまったのでしょうか?読みたいのですが見当たらなく…もし公開していないのであればぜひ公開してほしいです。宜しくお願いします。 (2022年1月11日 19時) (レス) id: 0d9a3fa9b5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - とっても面白いです。続きを楽しみにしてます。 (2021年6月26日 20時) (レス) id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
pandahero(プロフ) - もしこのサイトを開く機会があれば、またほかのサイトで書くことがありましたら、ぜひまた読ませてもらいたいと願うほど、本当に素敵な作品でした。ありがとうございます (2021年5月12日 12時) (レス) id: 6df71f9a53 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 本当にとても面白かったです!更新待ってます!!! (2020年8月5日 22時) (レス) id: 12db53baf5 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - ただの純愛じゃなくて、少しドロドロ?してて面白いです!組織がやってることブッ飛んでるな、とか思いつつ笑 快斗と主人公がこれからどうなるのか、組織にまたまた捕まってしまうのか展開が楽しみです!更新楽しみにしてます! (2020年5月28日 23時) (レス) id: 9f6637cdbb (このIDを非表示/違反報告)
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