008:モノクロアリス ページ9
日和side
嘘でしょ…
私は目の前に起きたことがなかなか信じられなかった。
しょうがないじゃないか、信じたくないことが起こってしまったんだから…
もうこの部屋は“平然”なんて言葉で表現できる、そんなものではなかった。
茜ちゃんは時弥さんにしがみついたまま、泣きたいのだか、驚いてるのだかわからない様子。たぶん、本人にも自分の気持ちが整理できてないだろう…。
「静…真……?」
京夜が名前を言いながら静真に近付く。
眼鏡を外した静真を押さえることができるのは、同等の力を持つ京夜だけ。
幼馴染みの私達でも無理。
「あ゛?んだよ。」
いつもと全然違う静真の様子に、思わずみんなビビる。蓮君なんかビクッと肩を大きく揺らした。
ヤバイ…私も怖い。
思わず肩を強張らせた。
すると、日向と繋いでいた手がさっきよりも強くぎゅっと握られた。
“大丈夫”
日向が目でそんなことを言った…んだと思う。
双子だからか知らないけど、なんとなくわかる気がする…。
「…ふぅ。」
一旦、落ち着こう。
そして、この場を何とかしなくちゃ。
「ねぇ、静真…。ちょっと話したいことがあるんだけど…」
「…わかった。」
良かった…。
あんまりにも長い間、二重人格のこっちと話してなかったから、どうなることかと思ったけど…
案外すんなりしてる。
「じゃ、日向…、私話してくるから…」
「…おう。気を付けろよ。」
「わかってる…」
性格が変わろうと、本当の静真じゃなかろうと、静真は静真だから。
大丈夫…。
静真はこの部屋を出た。
それに続いて私がここを出ようとすると、京夜が私の手を掴んだ。
「本当に大丈夫か?着いていこうか?」
そう言われたけど、私は断った。
…だって、これから話したいのは人狼について、だから。
これは遊びなんかじゃない。本気なんだってわかった。
……なら、やることは1つ。
自分が生き残るために、このゲームに勝つ。
ただそれだけ…。
ごめんね、紫炎狼のみんな。
私達、本気で勝ちにいくから…
仲間とか、友達とか、親友とか…そんなもの言ってられないんだ。
そう考えると、静真の人格が変わったのは好都合…だったのかもしれないね。
だって静真、
仲間思いすぎるんだよねぇ…
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