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「おいしいっ!」
「当たり前だろ?俺を誰だと思ってる。」
Aは夢中になって俺の淹れた紅茶を飲んでくれた。
誰かに自分の淹れた紅茶を飲んでもらうなんて、何年ぶりだろうか…
「アーサーは一人で住んでるの?」
不意にそんなことを聞かれた。
「見ての通りだ。」
そう言うと、Aは「ふぅーん。」と興味なさげに相槌をうった。
興味ないなら聞くなよバカァ。
「あ…お前は?ってかどこから来たんだよ…」
「んー…わかんない。」
はぁ?迷子かよ…わかんないって何だよ…
「だから、俺に着いてきたのか?」
そう聞くと、「そうかもね。」といたずらっ子な表情をして舌を出す。
しょうがねぇ…明日、交番に届け出を出しに行くか…
ってことはそれまでは…
「お前、これからどうするつもりなんだ?」
「うーん…できたらアーサーの家に泊まりたい!」
「ぶふっ…ケホッケホッ…はぁぁあああ⁉」
思わず口に含んでいた紅茶を吹いてしまった。Aは「ダメかな?」と、首を傾げる。
なーにが「ダメかな?」だ。ふざけんじゃねぇ‼知らねぇ奴の子守りなんかするか⁉
「お願い!」
彼女は両手の指先を合わせ、お願いのポーズをする。
うっ…。お願いされると断れない性分なんだよな…
「…はぁ。わーったよ。行く宛が見付かるまでだからな。…そのかわり、自分のことは自分でするように。面倒は見ねぇからな。」
了承しながらも、軽く突き放すようなことを言ったが、Aは気にもせず、嬉しそうな顔をしながら、ありがとうと言った。
っ…しゃーねぇなぁ…
「じゃ、コップはキッチンまで持ってきてくれ。洗うから。」
「うん!」
こうして、俺と不思議な少女、Aとの生活が始まったんだ。
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