お願いです、日常を返してください。第二巻【妖怪松】

其の六十四 ページ36

「えっと……１つ目は定番だね…動く人体模型…だっけ。」

「そーだね、Aが言ってたやつ。…ってか、よく知ってたよね…転校生なのに。」

「クラスの奴が言ってたのを聞いたって言ってただろ？」



Aが荷物を置きに行って、帰ってきたらいきなり「ねぇ!!みんな聞いて！」っ。


で、説明してくれたんだけど…永尾の提案で二つの組に別れて行動することになったの。

１つは、私、美玲、永尾。
もう１つがAと石倉。



ちなみにグッとパーで決めたんだ。



で、別れて今、私達は１つ目の人体模型の前にまで来たってわけ。


「…いつも不気味だけど…夜だから一層不気味だねぇ…」

「そうだな…。動くのか…？」

「動くわけないじゃーん。七不思議とはいえ、誰も見たことないんでしょ？」



ってか、ここで動かれてもしゃれにならないから…


「どうする？動くまで待つ？」


いや、動かなかったらどうすんねんって話になるじゃん…


「いや、とりま10分だけ待と？…それでも動かなかったら残念だけど…って感じで。」

「そうだな…にしても、ほんっと、夜の理科室はこえぇな…」

「あれ、永尾ってこういうのダメだっけ？」

「いや、そこまでじゃないけど…、でも、怖いものは怖いだろ。」

「あれ？でも翼君、小学生の時お化け屋敷ダメだったよねぇ…」

「やっぱダメなんじゃぁーん。」

「はぁ!?今は大丈夫だって言ってんだろ!!」


だんだん口喧嘩っぽくなってきて、ヤバイ…って思ったとき。


その時、もっとヤバイことが起きたの…



カランッ＿＿＿……


理科準備室に何かが落ちた、乾いた音が響いた。



「えっ…何…」


「ヒｯ…桜花ちゃん…あれ……」




美玲が指差す方には、あり得ないものが転がっていた。




「……嘘だろ…」




何で……








＿＿＿＿心臓が転がってるの…？



「きゃぁぁぁああああああ!!」

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