本当の貴方は何処へ〈鬼滅の刃〉

陸 ページ8

現在 夜

禰豆子は静かに起きた。

兄の気配がする。

守らなきゃ

行かなきゃ

兄の気配は鬼だった。

倒さなきゃいけないのに、苦しくても

人間だった兄が人を守れと言ったから

なのに、私を呼ぶ兄の声は悲鳴をあげている。

『誰か！俺を殺してくれ！！人を殺す前に！喰う前に！』

どうしたの、お兄ちゃん。

『俺の中の鬼舞辻の血はもうかなり濃くなってる！時間がない！誰か！俺を殺せ！』

どうして。

家族は死んじゃった。

お父さん

お母さん

竹雄

花子

茂

六太

皆死んじゃった

私にはお兄ちゃんしかいないのに。

暴走した私のことを止めてくれるのはお兄ちゃんしかいないのに

お兄ちゃん。

私、たくさん眠ったから太陽の下を歩けるようになったし今は普通に喋れるよ。

ねぇ、また一緒に暮らそう？

貧乏でもいい。

あの炭焼き小屋に帰ろう？

お兄ちゃん、迎えに行くから。

禰豆子は気づかれないように屋敷を脱け出そうとした。

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