時間と空間 ページ12
僕たちの決断を、両親たちは快く受け入れてくれた。それどころか、両家族そろって行く、一泊二日の旅行まで計画してくれた(これは単に本人たちが行きたかっただけなのかもしれない)。
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大学は夏休みが長くて助かった。二人でどこへでも行ける。一日中ずっと一緒にいることだってできる。
色々な所へ出掛けた。
よく行く近場の水族館。智絵はペンギンがお気に入りで僕は亀が好き。前まではそれぞれ見たい水槽に分かれて、一時間後に待ち合わせとかしていたけれど、今回はずっと二人でいた。
智絵はペンギンの可愛さについて語り、僕は亀の素晴らしさを語った。二人ともお気に入りの鰯の回遊は、その日も素晴らしいものだった。
二人では初めての動物園。智絵が象が嫌いだということを初めて知った。
怖がる姿がとてもかわいくて、ちょっぴり意地悪をしてみたくなってお土産に象のぬいぐるみをプレゼントした。「和のばか」と言って見せてくれたあの嫌そうな顔と、きれいにヒットしたローキックは忘れられない。
小さな遊園地へ行った。だいぶさびれていて人も少なかった。アトラクションは昔ながらの、正直ショボいものばかりだったけれど、味があって面白かった。
ジェットコースターを嫌がる僕を無理矢理乗せるなんて、なかなかイイ性格をしている。「象の仕返しだよ」なんて言って……あんな気持ち悪い思いをするなんて、行かなければよかった。
……嘘、結構楽しかった。
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両親たちが拗ねるから一応触れておくけれど、Ｗ家族旅行(智絵の母が名づけた)は、母親たちに振り回された一泊二日だった。
智絵も含め女性というのは、なぜあんなに同じ店に何十分も留まっていられるんだろう。服なんかどこで買っても同じじゃないのか。
でもその時智絵が買ってくれたお揃いのストラップは、今も僕の筆箱についている。
携帯なんて目立つ場所になんか、恥ずかしくてつけられない。お揃いなんて嫌だって言ったんだけど、なんでかな、その筆箱はいつも僕のカバンの中に入っていた。
クレープを食べたり、お茶したり、買い物に行ったり、ちょっとした時間ですらできるだけ一緒にいようとした。たった三か月、一秒たりとも無駄にはしたくなかったんだ。
そして……僕の部屋で一つになった最初で最後の夜は、すごく恥ずかしかったけれど、とても大切な、満ち足りたひと時だった。
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豆娘(プロフ) - にしさん» 遅くなってすみません。ありがとうございます、ありがとございます。もともと原稿用に書いていたので、こういうサイトのだと読みにくくなるかと懸念いたしておりました。嬉しいお言葉、本当に、本当に、ありがとうございます!! (2012年7月30日 19時) (
レス) id: 1e72e96e25 (このIDを非表示/違反報告)
にし - ヤバいです!!!涙腺がピンピンのはずの私が号泣しました；； (2012年7月5日 14時) (レス) id: 8cdf065869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆娘
| 作成日時：2012年4月20日 15時
