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「最近涼しいですよね」
「あー 8月ももう終わりかぁ、」
両腕を天井に高く突き上げて んーっ と伸びをする神宮寺さんは大きな欠伸をした。
「そういえば平野君ってもうここに来ないの？」
紫耀の名前にじんわりと胸に感じた痛みが全身に広がって、涙が出そうになった。
「彼、アメリカに帰るみたいで」
「えっそうなの？寂しくなるね」
「はい。」
「お見送りは？」
「行きません」
夏休みも終盤だからか子供達の姿も少なくなった図書館。神宮寺さんはジッと私を見つめて、まるで私の本心を見透かしているかのようだった。
「なん、ですか…？」
「山田さんはそれでいいの？」
何も答えられない私は俯いて、それを責めない神宮寺さんはどこかへ消えて行った。
ホッと胸を撫で下ろす。紫耀に会えなくなってから日を重ねる毎に自分の決意が緩んでいくのがわかる。
それでも私は紫耀への気持ちを透明に変えて隠した。
「これ、見て」
いつの間にか戻ってきていた神宮寺さんは一冊の本を手渡した。
「これは？」
「中、開いて見てごらん」
パラパラとページをめくって行くと、1ページだけ違和感があってそこを開いた。
「え…」
そこにあったのは、何かの文字をペンで強く消してその横に" Aを泣かせない "と確かに紫耀の字で書かれていた。
いつかの日、紫耀が慌てて何かを隠していたことを思い出した。
「平野君と最後に会った時、彼、山田さんには幸せになって欲しいって言ってたんだ。」
「紫耀…っ」
「山田さんは今ちゃんと幸せなのかな」
神宮寺さんはどこまで紫耀のことを知っているのかわからないけど、泣き続ける私の背中をずっと摩ってくれていた。
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みさき - 読んでいて本当に切なくて思わず泣いてしまいました。廉くんがどんな気持ちで「別れよう」と言ったのかとかを考えると本当に胸が痛くなりました。感動をありがとうございました！ (2020年2月15日 23時) (
レス) id: 401f8b5044 (このIDを非表示/違反報告)
tiara(プロフ) - ずっと、心がキュッと掴まれているような感覚で見させていただきました。でも、最後の廉くんの“あー、好きやったなぁ”で涙腺が崩壊しました。こんなに泣かせておいて、紫耀くんが迎えに来ないバッドエンドなんてあるもんか！wですがハッピーエンドで安心しました。 (2019年10月16日 23時) (レス) id: d8e454156d (このIDを非表示/違反報告)
きゅん(プロフ) - みょん氏さん» お返事ありがとうございます！嬉しいです！最後まで読ませていただきます。これからも頑張ってください！ (2019年8月29日 23時) (レス) id: 024a42f5a5 (このIDを非表示/違反報告)
みょん氏(プロフ) - きゅんさん» お返事遅くなってごめんなさい。結構重いストーリーになっていますが読んでいただきありがとうございます！コメント何度頂いても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！！ (2019年8月29日 20時) (レス) id: 3e1e1a76ac (このIDを非表示/違反報告)
きゅん(プロフ) - またまたコメントすみません。廉くんからのお別れ、自然と涙が出ました。廉くんも紫耀くんも良い人すぎます。更新頑張ってください！ (2019年8月29日 17時) (レス) id: 024a42f5a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みょん氏
| 作成日時：2019年8月24日 1時
