BORDER LiNE (ページ9)

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04/13 22:23 ページ9

「あ、そうそう、ほら最近テレビでやってる東大生のさー、伊沢拓司も出てるのよね。」

思わず椅子をガタッと鳴らして立ち上がる。

「えっ、伊沢くんとYouTuberやってるって？」

「なに、どうしたのA。あんた、伊沢拓司のファンだったっけ？」

友人たちの視線が一気にこちらに向いたことで、急に気恥ずかしくなってサッと座る。
しまった、別にそんな特別ファンでもなかったはずなのに、最近マイブームだっだものだから、過剰に反応してしまった。

「あー…いや、最近たまたま私も東大王見てて、さ…番組見て思ってたけど、東大生って、本当に頭良いよね。」

東大卒の旦那さんなんてやるじゃん、と半ば無理やり話を元に戻して、友人達も思い出したかのように話し出したから、思わずホッと胸をなでおろした。

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ご飯会からの帰宅中、私は携帯でYouTubeを開いてみる。
YouTubeを全く見ないわけではなかったが、今流行りのYouTuberというものにはかなり疎くて、それこそ最近入って来た子が話してた会話には全くついていけなかったものだから、私も見ようかなと思っていたところだった。
私も会社内ではまだなかなかに若い方のはずなのだけど…こういうのは、気持ちから若くないとね！流行を知るのも大事！と、よくわからない言葉を自分に言い聞かせながら、い、ざ、わ、た、く、し、と検索窓に入力した。

検索して驚いたこと。それは、伊沢くんに関して出て来た動画の多さだった。
2、3人でテーブルに座っている形の動画が多かったから、きっとこれが噂のYouTuberをやっている伊沢くんで、きっとこの中のどこかにあの友人の旦那さんの後輩くん(改めて思うとそれってただの他人では？)がいるわけだ。適当に一つ選んで、再生してみる。

(なにこれ！すごすぎ！)

動画の内容は、とてもシンプルに早押しクイズだったけれども、その問題の難易度がえげつない。
東大王の言葉を借りるならば、超難問！揃いのクイズばかりだというのに、動画内では目にも留まらぬスピードの早押し合戦が繰り広げられている。
成る程、東大生がYouTuberをするとこういうことになるわけか。クイズ自体はとても答えられるような問題ではなかったけど、なんだかスポーツを見ているかのような爽快なスピード感と、白熱したバトルに、私はすっかり見入ってしまった。