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『あっありがとうございます』
「いえ、それより肩大丈夫ですか？」
『え？あ、すみません、ちょっと待って下さい』
彼の手のひらからイヤホンを取ると、その動きがイヤホンのセンサーに反応してしまったのか、止まっていた音楽が流れ出す。
音楽は大音量で聞くのが趣味な私は、今日も音声ボリュー厶を70%くらいにしていた。私の片耳に装着されてるイヤホンから流れる爆音の音楽のせいで彼がなんと言っているのか聞き取れない。ただでさえ目の前の彼にドキドキしているのに、こんな予想外なハプニングに焦ってあわあわしてしまった。
もっとスムーズに受け答えしたかったのに！っとがっかり半分八つ当たり半分で、急いでスマホを取り出して音楽を止め、イヤホンをケースにしまった。
「その歌、僕も好きです。」
『え？』
「今流れた歌。」
やっぱり今日はラッキーデーなのかもしれない。ハプニングが会話のタネになった。おそらく拾ってくれたイヤホンからの音漏れが彼にも聴こえたんだろう。
『この曲良いですよね！特にこの季節になると聴きたくなるっていうか。この曲知ってる人あんまり見ないですけど珍しいですね！』
彼が会話を繋げてくれたことに対する驚きと嬉しさと、曲への愛。色んな気持ちが混ざってテンションが上がってしまう。
私が聴いていたのは、有名なアーティストのマイナーな曲。ポップスとバラードの中間みたいな曲調で、歌詞は恋愛感情を綴った歌。恋愛感情と言っても激しくなくて、胸がキュンとする切なさを含んだ相手を愛おしく思う気持ちがヒシヒシと伝わってくる。小説みたいな歌詞。今くらいの暖かい季節がこの歌をより一層甘く彩ってくれる気がして、春になって桜が咲き始めると無性に聴きたくなるお気に入りの曲だ。
有名なアーティストの曲は有名どころしか聴かない人がほとんどだと思うし、この曲自体もそのアーティストが売れる前のアルバムに入っていた曲だから、この曲を知っているだけでも珍しい存在なのに、そのうえ好きな曲だと言うのだから、割と奇跡的な確率で一致した好みだと思えて胸が高鳴る。
「笑笑たしかに俺もこの曲聴いてる人会ったことないかも」
彼が笑った。
くすくす という擬音語がぴったり。肩を小刻みに震わせている。この笑顔にキュンとせずにはいられない。だってこの人、ものすごく優しい顔して笑うんだもの。
笑顔が彼の人柄の良さを物語っている。
やっぱり好きだと思った。
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KH(プロフ) - りーこさん» コメントありがとうございます(*´˘`*) ワクワクを裏切らないように頑張りますね！！ (2023年2月4日 11時) (
レス) id: 43c3b720cd (このIDを非表示/違反報告)
りーこ(プロフ) - 私もAH LOVEがセブチの中で一番好きで、今回エスクプスさんの恋物語ですごくワクワクしてます！！ (2023年2月4日 1時) (レス) @page3 id: 0ec5ee3d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KH | 作成日時：2023年2月2日 4時
