27話 兄たちの夜のこと。 ページ28
ある夜、マルコは一人甲板で酒を飲んでいた。仕事に煮詰まり、気分転換だ。
いつもは部屋に篭りきりだが、今日は良い風が吹いていたため、外の空気を吸いに来た。
「Aはもう夢の中だろうな……」
ポツリとつぶやいて、自然と頬が緩んだ。
暇になると頭に浮かぶのはかわいい末っ子Aの顔だ。
Aは今日も天真爛漫に釣りをしたり、本を読んだりと遊んでいた。そんな平和なモビーを考えると、ポカポカと胸が暖かくなる。
「よぉ、マルコ。入れてくれよ」
「サッチ……片付けは終わったのかよぃ？」
「もちろんよ」
よっとマルコの隣に腰を下ろすサッチ。
先ほどまで厨房の片付けをしていた彼は、酒瓶を片手に持っている。
どうやらマルコと晩酌をしにきたようだ。
「考えてるのはうちの妹のことだろ、その顔は。お前は珍しく優しい顔になるんだ」
「そうだよい」
「この間は肝が冷えたぜ……死んだかと思っちまった」
この間とは、Aが船から落ち、あろうことか海軍大将に送り届けてもらった時の話だ。
マルコはグッと眉を寄せた。
「俺たちも危機感が足りてなかったよい。Aの細い足じゃあ嵐の強風や揺れには耐えられねえ。もっとみてやらねーと」
「そうだなぁ……だれか見張り番でもつけるか」
サッチはケタケタと笑いながら言った。
その時、夜の闇の中から声をかけられる。
「よぉ、おふたりさん。夜の甲板で晩酌たぁ粋なことしてるねぇ。俺たちもいれてくれや」
「お、イゾウ。それにエース、ハルタ、……おいおい、隊長格勢揃いじゃねーか」
振り返ると、そこにはそれぞれ酒瓶を持った隊長達が全員いた。
マルコはそれをみてはぁとため息をつく。
「おいおい、明日の朝全員潰れてたらどーすんだ」
「そんなことしないよ。それより、Aの話でしょ？」
ハルタはニッコリと笑って座った。
他の体調達も座り込み、自然と輪になった。
みんな大好きなかわいい妹の話には興味津々だ。
「こないだの嵐の話だよ」
「あぁ……あんときゃ驚いたぜ」
グイッと酒を飲み込むと、エースが珍しく真面目な顔で話し出した。
「しかしよお、あの赤犬まで虜にするってどう言うことだ？」
「そうだよなぁ」
「あいつの才能だよなぁ…人に愛されるのは」
本当に、気がついたら人に好かれている……もちろん、例外はあるけれども。
いつもするりと心に入り込む。そんな人間だ。
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ピーちゃん - とても面白くて愛らしかったし (2022年10月28日 20時) (
レス) @page42 id: e9f23f5dc7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - ３４５回も会議やっての笑った!!!めちゃ面白い!!!これからも頑張ってください!!! (2022年10月13日 12時) (レス) @page37 id: 407d8a27ca (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - tottemo_ringoさん» ありがとうございます！！夢主ちゃんはわがまま末っ子気質なもので困りますね笑好きになっていただけてとても嬉しいです…！優しいお言葉とても力になります！ (2022年8月22日 0時) (レス) id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
tottemo_ringo(プロフ) - 今日初めて読みました。最初は主ちゃんに対して、なんやこの子！めっちゃわがままやんけ！といい印象ばかりではなかったものの、期待し読んでいくうちに完全にオチました。主ちゃんの性格と、周りの関係や反応がとても好きです。無理せず、更新お願いしたいです！！ (2022年8月9日 3時) (レス) @page37 id: 4137b5ba4e (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - みなさま大変お久しぶりです。長い間こちらの作品を放置しておりましたが、最近になってちょっとだけ書きたくなって戻ってきました。今後続けて連載していくかは未定です。書きたくなった時だけ書きます。あまり期待せずに暇つぶし程度に見てくださると嬉しいです。 (2022年8月6日 20時) (レス) @page36 id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：センカ | 作成日時：2019年8月18日 18時
