18話 ページ19
マルコはAを慰めるふりをして強く抱きしめ、耳元で囁いた。
「A、大丈夫だ。それをやったのはおそらくシーナだよい」
Aはハッと顔を上げた。
この船にはAを傷つけようとする人はいない。
オヤジや兄達が恐ろしいからだ。
それにかかわらず、Aを泣かせる。
それは、恐ろしさを知らない奴だけだ。
とはいえ、証拠はない＿＿＿
今すぐ問い詰めることができないことにマルコは内心地団駄を踏んだ。
すると、Aが小さくニヤリと笑ってマルコの耳に口を寄せた。
「じゃあ、やられたらやり返さないと……ね」
忘れちゃあいけない。
こう見えてAは、白ひげ海賊団に女だてらに戦闘員として乗船している＿立派な海賊だ。
マルコはその笑みにぞくりと背筋が冷えるのを感じた。
百戦錬磨なマルコすらも恐れを感じるほどの雰囲気。
Aの持つ覇王色の覇気の鱗片が見えた。
そんなことはつゆ知らず、シーナは再び口を開いた。
「マルコさん、かわいそう……
大切な本だったんですよね、ずっと大事に保管してたのに…」
「……」
「でも、Aちゃんだってわざとじゃなかったんでしょう？大丈夫、きっと心から謝れば、マルコさんも許してくれるよ」
ね？と微笑みを貼り付けてAに手を差し出すシーナ。
Aがやったなんて誰も言ってないのに、Aが犯人だと決めつけるばかりの態度に、マルコはシーナに言い返そうとした。
しかし、Aがマルコの手をグッと掴み、それを妨げる。
「A、さっきごめんねって言ったよ」
「え？……ダメだよ、悪いことしたらちゃんと謝らなきゃ」
「どうして？マルコは怒ってないじゃん。第一、A悪くないし」
Aはツーンとそっぽを向く。
周りの兄達はオロオロと慌てだした。
「いやいや、A、謝らないと……なのか？」
「たぶん、そうだけど……A、だしなあ」
「マルコ隊長怒ってないしなぁ」
いつもならとっくに許されている。
でも、シーナの言葉に、判断に困ってしまったのだ。
Aは兄達にきっときつい目を向けた。
「みんな、Aが悪いって言うの！？もう知らない！」
「「「Aっ！！！」」」
Aはバンッと扉を開け飛び出した。
追いかけようとする兄達をマルコがひきとめる。
「ほっとけよい」
「でも！」
「いーから」
兄達は心配そうに扉を見つめた。
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ピーちゃん - とても面白くて愛らしかったし (2022年10月28日 20時) (
レス) @page42 id: e9f23f5dc7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - ３４５回も会議やっての笑った!!!めちゃ面白い!!!これからも頑張ってください!!! (2022年10月13日 12時) (レス) @page37 id: 407d8a27ca (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - tottemo_ringoさん» ありがとうございます！！夢主ちゃんはわがまま末っ子気質なもので困りますね笑好きになっていただけてとても嬉しいです…！優しいお言葉とても力になります！ (2022年8月22日 0時) (レス) id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
tottemo_ringo(プロフ) - 今日初めて読みました。最初は主ちゃんに対して、なんやこの子！めっちゃわがままやんけ！といい印象ばかりではなかったものの、期待し読んでいくうちに完全にオチました。主ちゃんの性格と、周りの関係や反応がとても好きです。無理せず、更新お願いしたいです！！ (2022年8月9日 3時) (レス) @page37 id: 4137b5ba4e (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - みなさま大変お久しぶりです。長い間こちらの作品を放置しておりましたが、最近になってちょっとだけ書きたくなって戻ってきました。今後続けて連載していくかは未定です。書きたくなった時だけ書きます。あまり期待せずに暇つぶし程度に見てくださると嬉しいです。 (2022年8月6日 20時) (レス) @page36 id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：センカ | 作成日時：2019年8月18日 18時
